製造工場においては、生産や加工の工程で薬品を使うケースも多くあります。
中でも「酸性成分を含む排気が出る」「酸性物質を扱う」等、酸性環境下の製造環境にある工場では、
・酸性の排ガスを換気口から排出されるため、酸による壁の汚れや換気口の錆(サビ)が目立つ 。
・折板屋根(金属屋根)の内側が、製造の過程で発生する酸性の蒸気の影響で溶けて、一部穴が開いている
などのお悩みがある営繕ご担当者様も多いのではないでしょうか。
実際、弊社にも
・塗装によって、酸性による劣化を防ぐ方法はあるか?
・酸性物質を扱う環境下で、工場の屋根塗装に〇〇塗料を使用しても問題ないか?
といったお問い合わせをいただくことがあり、塗料の選定に迷われる方が多くいらっしゃることが分かります。
本記事では、このような営繕ご担当者様が、塗装プランを検討するうえで一度は目にするであろう「耐酸性」について解説します。
また、弊社で取り扱いの耐酸性塗料についてもご紹介させていただきます。
工場環境に合った塗料を選定するための参考としてお役立てください。
目次
「耐酸性」とは?

酸は腐食性が強く、建材に悪影響を及ぼします。
一般的に「耐酸性」とは、その酸の作用に抵抗して変化しにくい性質のことを指します。
外壁用塗料や屋根用塗料においての「耐酸性」とは、酸性雨、排気ガスなどの酸性成分に対して、美観の維持や下地を保護するために塗膜に求められる性能を指します。
耐酸性を持つ塗料は「耐酸性塗料」と呼ばれることもありますが、JIS規格などでは明確に定義されていません。
耐酸性試験とは?
塗料の耐酸性を見る試験として、「耐酸性試験」があります。
塗料の耐酸性試験は、
「JIS K 5659 鋼構造物用耐候性塗料」
「JIS K 5658建築用耐候性上塗り塗料」
など、耐候性※が求められる塗料規格に含まれています。
※太陽光・温度・湿気、雨等の天候がもたらす屋外の自然環境に対しての耐久性
耐酸性試験は、「耐薬品性能」を評価する試験の一つで、塗膜を酸性試薬に一定期間浸し、異常の有無を調べます。
JIS規格では、この試験をクリアすると「耐酸性がある」と評価されます。
【JIS規格における試験例】JIS K 5658 建築用耐候性上塗り塗料の場合
硫酸(試薬)を脱イオン水で、5 g/Lに調製したものに、塗膜の試験片を168時間浸し、目視によって塗膜の状態を調べます。
判定は目視によって観察し,試験片の塗膜に割れ,はがれ及び膨れが無く、つやの変化及び変色の程度が大きくないとき,“異常がない”(=合格)とします。

耐酸性が必要な場面は?
内装塗装は、その環境に適した耐薬品性のある塗料を選定すべき

耐酸性試験をクリアした塗料なら、どんな酸にも対応できるわけではありません。
耐酸性試験は、特定の酸(上記の例では硫酸)に対する耐酸性を評価するものであり、全ての酸に対応できることを保証するものではないからです。
化学工場など複数種類の酸の影響を受ける建物、特に直接酸に触れる可能性のある内装や床、内部鉄骨では、その環境に適した耐薬品性を持つ塗料を選ぶ必要があります。
施工箇所がどのような影響を受けるかを把握し、適切な耐薬品性を持つ塗料を選定することで、建物を長期的に保護できます。
ただし、錆の進行がひどく穴が開いているなど、下地の劣化がひどい場合は塗装工事ではなく、下地補修や下地の改修工事が必要です。
下地の劣化状況も確認したうえで改修工事の内容を決めることも建物の保護には必要です。
屋根・外壁塗装はJIS規格「耐酸性」に合格しているものがおすすめ

一方、酸成分を扱う工場であっても、酸の影響を受けにくい外壁、屋根、工場周辺の建物では、使用塗料がJIS規格の耐酸性試験をクリアしていれば、酸性雨や排気ガスなどの影響はそれほど大きくないと考えられます。
しかしながら、常時酸が排気ダクトなどから放出されている環境であれば、一般環境よりも早く劣化は進行します。
塗膜を長く持たせることを考えると、耐酸性試験にクリアしていることに加え、耐候性の高い「高耐候性塗料」や緻密性の高い「弱溶剤2液塗料」が適していると言えます。
【屋根・外壁向け】アステックペイントの耐酸性試験 合格塗料
ここからは耐酸性試験をクリアしているアステックペイント製品を紹介します。なお、試験方法と評価はJIS規格に基づき、自社で行っています。
※「高耐候性塗料」かつ「弱溶剤2液塗料」には★マークを記載しています。
より詳しい性能・設計価格は以下よりダウンロードいただけます。

耐酸性塗料比較表
弊社で取扱いの耐酸性塗料一覧です。耐候年数ほか性能・設計価格等ご確認いただけます。
屋根用 耐酸性試験合格塗料
・EC-100PCM
・超低汚染リファイン1000無機-IR
・超低汚染リファイン500MF-IR
・超低汚染リファインJY 500MS(-IR)★
・超低汚染リファイン艶消500Si-IR
・超低汚染リファイン500Si-IR
・スーパーシャネツサーモF / Si ★
・シャネツトップワンSi-JY
・シャネツテックⅡ F-JY / Si-JY ★
・シリコンフレックスJY
外壁用 耐酸性試験合格塗料
・EC-5000PCM-IR
・超低汚染リファイン1000MF-IR
・超低汚染リファインJY1000MS(-IR)★
・超低汚染リファイン弾性1000MS-IR
・超低汚染リファイン艶消1000MS-IR
・超低汚染リファイン1000Si-IR
・スーパーBIOリファイン(-IR)
・スーパーBIOリファインカスタム(-IR)
・マックスシールド1500F-JY / Si-JY ★
・マックスシールド U-JY
付帯部用 耐酸性試験合格塗料
・マックスシールド1500F-JY / Si-JY ★
・マックスシールド U-JY
まとめ
今回は「耐酸性」について解説しました。
特殊な薬剤を扱う工場においては、施工箇所の劣化状況や環境、求める機能、目的に合わせた塗料を選定することが重要です。
その塗料が持つ耐性や性能を確認し、選定しましょう。
アステックペイントでは環境に合わせた塗料や、さまざまな機能性を持つ塗料による塗装プランをラインアップしております。
製品についての詳細な内容をご希望の方は、以下お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
お問い合わせはこちら
フォームが表示されるまでしばらくお待ち下さい。