スーパーや量販店・ホームセンター、飲食店などの店舗において、カーボンニュートラル・CO2排出量削減などの目標達成のため使用電力の削減を掲げる企業様は少なくないと思います。
これらの店舗は、冷蔵設備・空調・照明が24時間または長時間稼働するため、電気代が経営を圧迫しやすい構造にあります。
本記事では、店舗の電気代の相場から高騰する原因、すぐに実践できる削減策7選、さらに根本的な対策となる屋根への遮熱塗装まで、体系的に解説します。
目次
店舗の電気代の相場・平均はいくら?

店舗の電気代は業態・規模によって大きく異なりますが、目安となる相場感は下表の通りです。スーパーは冷蔵設備の常時稼働、量販店は空調負荷が中心という業態特性の違いがあり、電力消費の内訳にも差が出ます。
| 業態 | 坪数目安 | ㎡数目安 | 月額電気代目安 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| スーパー・食品スーパー(中〜大型) | 約200〜500坪 | 約660〜1,650㎡ | 約40万〜100万円 | 環境省資料の坪単価換算(※1) |
| スーパー(超大型・延床1万㎡クラス) | 約3,000坪 | 約1万㎡ | 約580万〜670万円 | 環境省資料/スーパーマーケット年次統計調査(2025年10月) |
| 量販店・ホームセンター(中〜大型) | 約200〜500坪 | 約660〜1,650㎡ | 約40万〜100万円(目安・実額はやや低めの可能性)(※2) | スーパー推計値を参考値として流用 |
| 飲食店(厨房設備あり) | 30〜50坪 | 約100〜165㎡ | 3万〜15万円 | マネーフォワードクラウド「飲食店の電気代を削減するには?」 |
※1 環境省資料(延床1万㎡=約3,025坪のスーパーで年間電気料金約7,000万円=月額約583万円)を坪単価換算し、200〜500坪規模に当てはめた推計値です。
※2 金額はスーパーの推計値を目安としてそのまま流用しています。ただし電力消費の内訳比率は業態別データがあり、食品スーパーが冷凍冷蔵約37.8%・空調約24.3%・照明約16.3%であるのに対し、量販店(卸・小売店)は空調約26%・照明約22%・冷凍冷蔵計約14%(資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー」2023年6月)と、冷蔵設備の比率が明確に低くなっています。この構造の違いから、量販店の実際の電気代はスーパーより低めに出る可能性があります。
電力単価の上昇が経営コストを押し上げている
近年の電気代高騰は、電力単価の上昇が主な要因です。
東京電力の低圧電力(動力)プランでは、2024年度改定で夏季27円14/kWh・その他季25円57銭/kWhとなっており、店舗が月に1万kWh消費する場合、単価が10円上がるだけで月10万円、年間120万円のコスト増になります。
省エネ機器の導入や運用改善だけでなく、電気の使い方そのものを見直す必要性が高まっています。
※出典元:東京電力「電気料金単価表(低圧)」(2024年4月改定)
電力消費の内訳を把握することが第一歩
削減策を効果的に打つには、何に電力を使っているかを把握することが前提です。一般的な店舗の電力消費割合は次の通りです。
- 空調(冷暖房)
- 冷蔵・冷凍設備
- 照明
- 厨房設備
- その他(POS・換気等)
業態によって差はありますが、空調と冷蔵設備だけで全体の50〜70%を占めるケースが多く見られます。この2項目を重点的に改善するだけで、電気代の大幅削減につながります。
店舗の電気代が高くなる原因

電気代が高くなる原因は「設備の老朽化」と「運用の非効率」に大別できます。どちらか一方だけを改善しても、効果は限定的です。
原因① 空調の非効率運用と熱侵入
空調が電気代を押し上げる最大の要因は、「冷やしても冷やしても追いつかない状態」が続くことです。
店舗の出入り口の開閉や、屋根や外壁そのものから熱が侵入し続けると、設定温度に達するまで空調が全力稼働します。特に見逃しがちであるのが「金属屋根(折板屋根)」の温度上昇からの熱の侵入で、外気温35℃の夏日に遮熱対策のない金属屋根は表面温度が70〜80℃に達し、室内への熱侵入量が急増することが分かっています。
▼大型店舗屋根によく使用される金属屋根(折板屋根)

原因② 照明設備の旧型化
蛍光灯や水銀灯を使い続けている店舗は、照明コストが相対的に高止まりしています。LEDと比較した場合、蛍光灯は消費電力が約3倍、水銀灯は約4〜5倍です。
照明は空調・冷蔵設備ほど見直されにくい傾向がありますが、店舗面積が大きいほど累積消費電力の差は大きくなります。
原因③ デマンド超過による基本料金の高止まり
電気代は「使用量に応じた従量料金」と「最大需要電力(デマンド値)に応じた基本料金」の2本立てで構成されます。
デマンド値は直近12か月の最大値が翌年の基本料金の基準になる仕組みで、夏の昼ピーク時に一時的に電力使用量が跳ね上がるだけで、1年間にわたって基本料金が高止まりします。
ランチタイムや開店直後に空調・照明・厨房機器が一斉に稼働するケースが、デマンド超過の典型例です。
原因④ 冷凍冷蔵ショーケースの経年劣化と扉開放
冷凍冷蔵ショーケースは経年とともに断熱性能が低下し、消費電力が増加します。10年以上使用した設備は、新品と比べて消費電力が20〜30%増になることがあります。
また、開放型ショーケースは扉付きと比べて冷却負荷が大きいため、扉や蓋の後付けや扉付きショーケースへの交換も選択肢に入ります。
原因⑤ 電気料金プランの見直し不足
契約アンペアが実態に合っていない、または最適なプランへの切り替えが行われていないケースも多く見られます。
高圧受電に切り替え可能な規模の店舗が低圧契約のままになっていると、単価の面で不利になります。
電力自由化後は新電力との比較検討も有効な選択肢です。
店舗の電気代を削減する方法7選

電気代削減は、即効性の高い「運用改善」と、中長期で効く「設備投資」を組み合わせて進めるのが基本です。以下の7つを、取り組みやすい順に解説します。
① 空調設定温度の見直しと適正管理
空調の設定温度を1℃変えるだけで消費電力が約13%変わるとされており、夏の冷房設定を26℃から28℃に変更するだけで年間電気代の5〜10%削減が期待できます。経済産業省 資源エネルギー庁の「節電のお願い」でも、冷房28℃設定が推奨されています。
加えて、開店前に急冷して来客時の設定変更幅を小さくする「プリクーリング」の活用も効果的です。
※出典元:夏季の省エネ・節電メニュー(経済産業省 資源エネルギー庁・2023年6月)
② 電気料金プラン・契約の見直し
月の電気使用量が多い店舗は、低圧から高圧契約への切り替えで単価を下げられる場合があります。
一般的に高圧契約(特別高圧含む)は低圧より単価が20〜30%安くなります。
また、電力自由化以降は新電力との比較が可能で、使用量・時間帯に応じた最適プランを選ぶことで年間数十万円の削減も現実的です。
③ デマンド監視・デマンドコントローラーの活用
デマンドコントローラーは、30分ごとの電力使用量をリアルタイム監視し、デマンド値が上限に近づくと自動的に一部設備の出力を下げるシステムです。
デマンド値を適正管理することで基本料金を5〜15%削減できる事例が報告されており、電力消費量が多い店舗ほど効果が大きくなります。
導入費用は数十万円程度が一般的ですが、基本料金の削減額で早期回収が見込めます。
④ 冷凍冷蔵設備の省エネ化・運用改善
10年以上使用した冷蔵ショーケースは最新機種への更新を検討する時期です。
インバーター搭載の省エネ型ショーケースは、旧型に比べて消費電力を20〜40%削減できます。
また、扉なし開放型ショーケースへの扉取り付けや、夜間に設定温度をやや上げる「ナイトカーテン」の活用だけでも、電力消費を10〜20%抑えられます。
⑤ LED照明への切り替えと照明制御の導入
蛍光灯からLEDへの切り替えは、初期費用の回収期間が3〜5年と短く、費用対効果が高い対策です。
さらに人感センサーや照度センサーと組み合わせると、バックヤードや駐車場照明の電力消費を30〜50%削減できます。
⑥ 遮熱フィルムや日射対策グッズの活用
窓面積が大きい店舗では、遮熱フィルムの貼付が即効性の高い対策です。
高性能な遮熱フィルムは日射熱の40〜70%をカットでき、窓周辺の温度上昇を抑えて空調負荷を軽減します。
施工は営業時間外に完了できる場合が多く、初期投資も屋根塗装などと比べて小さいため、まず試せる対策として有効です。
⑦ 屋根への遮熱塗装で熱侵入を根本から抑制
遮熱塗装は、屋根表面温度そのものを下げることで熱侵入を防ぐ根本対策です。金属屋根やスレート屋根に遮熱塗料を塗布すると、表面温度を最大17〜20℃低減でき、空調負荷を継続的に軽減します。
効果は塗膜が密着している限り継続するため、一度の工事で10〜15年以上にわたってコスト削減効果が続きます。詳しくは次の章で解説します。
熱侵入を根本から抑制する「遮熱塗装」

これまで紹介した6つの対策は「使う電力を減らす」アプローチですが、遮熱塗装は「そもそも建物に入る熱を減らす」対策です。屋根表面温度を下げることで空調の稼働負荷そのものを軽減し、他の対策と組み合わせることで効果を底上げできます。
折板屋根+ケイカル板の店舗は天井裏に熱がこもりやすい
スーパーや量販店・ホームセンター、飲食店などに多い構造が、金属屋根(折板屋根)の下にケイカル板の天井を張った形式です。
この構造では、折板屋根の表面温度が夏に70〜80℃に達すると、屋根とケイカル板の間の天井裏空間に熱気が充満します。
天井裏の熱は室内に放射熱として伝わり続け、空調がいくら稼働しても設定温度に達しにくい状態を生み出します。
断熱材が薄い、または経年で性能が低下した建物では、この影響が特に顕著です。
遮熱塗装で屋根表面温度を下げ空調負荷を軽減する仕組み
遮熱塗料は、太陽光に含まれる近赤外線(熱線)を塗膜表面で反射することで、屋根表面への熱吸収を抑えます。日射反射率を高めることで屋根表面温度の上昇を抑制し、最大17〜20℃の低減効果を発揮します。表面温度が下がることで天井裏への熱侵入が減り、空調が「熱に追いつく」ために使っていた余分な電力が削減されます。
工事費は屋根材・面積・工法によって異なりますが、金属折板屋根向けの遮熱塗料の場合、施工単価は約2,500円/m²〜が目安です。
遮熱塗装導入で得られる電気代削減以外のメリット
遮熱塗装の効果は電気代削減だけではありません。
①塗装本来の「建物の保護」という役割により、屋根の保全につながる
②室内温度が安定することで、従業員の作業環境改善や生鮮食品の温度管理精度向上につながる
③対外的な省エネアピールとしてサステナビリティ経営の観点でも活用可能
など、企業イメージ向上・採用への好影響など多くのプラスの効果が見込めます。
アステックペイントの遮熱塗装で店舗の電気代削減をサポート
アステックペイントは遮熱塗料シェアNo.1の塗料メーカー※として、店舗・量販店の修繕・改修工事における遮熱塗装ソリューションを提供しています。
建物診断から塗料・工法の選定、施工店紹介、施工後のアフターフォローまでを一貫してサポートしており、無料テスト施工で実際の効果を確認してから本格導入を判断することも可能です。
※ペイント&コーティングジャーナル 第3555号「屋根用・遮熱塗料特集」より
多店舗一括発注・お見積りに対応
全国に施工実績が豊富な提携優良施工店ネットワークを持ち、チェーン展開している事業者様には複数店舗の一括発注にも対応可能です。塗料品質を統一しながら各地域の施工店が現地で工事を担当するため、地方店舗まで対応できるか不安な場合も相談できます。
店舗の電気代削減に関するよくある質問

Q. 店舗の電気代を下げるには何から始めればいい?
まず電力使用量の内訳を把握することが先決です。電力会社の明細や簡易計測器で、空調・冷蔵設備・照明それぞれの消費電力を確認してください。
消費電力の割合が高い項目から着手することが重要です。
コストをかけずにできる運用改善(空調温度の適正化・デマンド管理)から着手し、次に設備投資(LED化・省エネショーケース更新・遮熱塗装)へと段階的に進めることをおすすめします。
Q. 遮熱塗装だけで本当に電気代は下がる?
遮熱塗装単体での電気代削減効果は、建物の構造・地域・空調規模によって異なりますが、屋根面積が大きく空調負荷の高い店舗では年間の空調電力消費を10〜30%削減できた事例があります。遮熱塗装は空調の運用改善と組み合わせることで、相乗効果が得られます。
塗装前後の電気代データを記録することで、削減効果を数値で確認できます。
Q. 営業しながら屋根塗装の施工はできる?
屋根の外部からの作業であれば、多くの場合は営業を継続しながら施工が可能です。
ただし、高所作業車や足場設置が駐車場を一部占有する場合や、騒音・臭気が発生する工程については、施工時間帯の調整が必要です。
施工店と事前に営業時間・来客導線・工程スケジュールをすり合わせることで、影響を最小限に抑えられます。
Q. 複数店舗まとめて発注できる?
複数店舗の一括発注は可能で、施工単価・設計コスト・管理の面でメリットがあります。
全国にチェーン展開している事業者の場合、エリアごとに提携施工店を手配することで、品質を統一しながら効率的に工事を進められます。
アステックペイントは全国の提携施工店と連携しているため、多店舗・広域対応のご相談も受け付けています。
まとめ:店舗の電気代削減は節電施策と屋根の遮熱対策をセットで進めよう
運用改善は即効性がある一方、効果には限界があります。屋根からの熱侵入という根本原因を放置したままでは、空調を最適化しても電気代の削減幅は頭打ちになります。このような場合は、節電施策と遮熱塗装を組み合わせることで、電気代削減の効果は最大化することが可能です。
アステックペイントは、遮熱塗料シェアNo.1の塗料メーカーとして、全国の施工実績が豊富な提携優良施工店と連携し、建物ごとに最適な塗料選定と工事をご提案しています。「どの対策から始めればよいか分からない」という段階のご相談も歓迎です。小さなお悩みでもお気軽にご相談ください。
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