これから工場・倉庫の屋根塗装工事のご検討を始める方は、具体的にどんな手順で業者選定をし契約するのか、どのような流れで塗装工事を行うのか、事前に知っておきたいのではないでしょうか。

本記事では、前提となる
・工場倉庫でよく使用されている屋根材
・メンテナンス時期の目安となる劣化症状
・業者選定から契約までのポイント
について解説した上で、
・塗装工事開始から完工までの手順

を詳細に紹介していきます。
ぜひ参考にしてください。

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工場倉庫で使用される屋根材の種類

工場や倉庫で一般的に使用されている屋根材には、「波型スレート」と「折板屋根」があります。
屋根の塗装工事といっても、使用される建材によって注意点や工程、使用される塗料等に違いがあります。
まずは、それぞれの建材の特長についてご説明します。

波形スレート屋根(波型スレート屋根)

波形スレート屋根とは、セメントと繊維を主成分として作られる波形スレートを使用した屋根のことです。
波形スレートは、耐火性や耐熱性に優れており、主に工場や倉庫などの建物に採用されることが多いです。

波形スレートの耐久性は、30~40年程度と言われていますが、経年劣化や外的要因により徐々に脆くなり、ひび割れや破損が発生し、雨漏りなどの症状につながります。特に、脆くなった波形スレートでは、屋根に登って作業を行う人が波形スレートを踏み抜き、落下してしまう事故が発生しており、入念な安全対策が求められます。
さらに、2006年9月以前に使用された波形スレートは、アスベストを含有している可能性があり、改修工事の際にアスベストが飛散をするような特定作業では作業者の安全を確保するために、法令によってアスベストの飛散防止対策が求められます。
そのため、経過年数や劣化状況、使用されている素材に応じた適切なメンテナンスが不可欠となります。

波形スレート屋根の改修工事における危険性や安全対策について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参考ください。

折板屋根とは

折板屋根とは、鋼板(鋼鉄の板)を波型に折り曲げて成型した屋根材を葺いた屋根を指します。
面積の大きな建物に対しての施工性に優れ耐久性も高いため、工場や倉庫といった建物に採用されることが多いです。

折板屋根の耐久性は、20~30年程度と言われていますが、経年劣化や外的要因により折れたり凹んだりといった形状変化や、錆、孔食といった金属特有の症状が発生します。
また、沿岸部にある工場や倉庫は、潮風の影響により一般環境下よりも錆の進行が早くなる傾向があります。

そのため、波形スレート屋根同様、経過年数や劣化状況、使用されている素材に応じた適切なメンテナンスが求められます。

折板屋根の種類やメンテナンス方法に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参考ください。

どのような建材にしろ、屋根のメンテナンスを怠ると、従業員の安全や生産ラインに悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、
・雨漏りにより商品が濡れてしまう
・浸入した雨水で、電気設備が壊れてしまう
・屋根材や付帯設備などの落下により、従業員が負傷してしまう

などです。

メンテナンス時期の目安主な劣化症状

波形スレート屋根と折板屋根の主な劣化症状について解説します。
紹介する劣化症状が多数見受けられる場合は専門業者による点検をご検討ください。

波形スレート屋根の主な劣化症状

波形スレート屋根の主な劣化症状としては以下の通りです。
反り・ひび割れ・欠損・フックボルトの錆、藻の発生・汚染 等

●ひび割れ

●欠損

●汚染

●苔・藻の発生

折板屋根の主な劣化症状

折板屋根の主な劣化症状としては以下の通りです。
・建材の劣化症状:変形/ズレ・錆・孔食・ボルトの錆 等
・表面仕上げの劣化症状:剥離・チョーキング・光沢低下・変退色・汚染 等

●剥がれ・ズレ

●孔食

●塗膜の剥離

●塗膜のチョーキング

業者選定から工事依頼までの流れとポイント

工場・倉庫の塗装工事を行うにあたって、業者選定から工事依頼までの流れとポイントは以下の通りです。

業者選定

工場・倉庫の屋根塗装工事は、戸建て住宅や集合住宅の塗装とは異なる知識・経験が必要とされる、専門性の高い工事です。そのため、選定の際は、業者のウェブサイトで会社紹介、施工例、実績数を確認し、その業者が工場や倉庫塗装の豊富な経験を持つかを把握しましょう。

また、ほとんどの業者は工事可能エリアを設けているため、自社の塗装工事に対応してくれるかもチェックします。

問い合わせ・見積もり依頼

初回問い合わせを行う際は、下記の情報を準備しておくとスムーズです。

・工場の築年数
・屋根の種類(波型スレート・折板屋根など)
・過去の塗装履歴
・平面図、立面図の有無

また、建物の現状や問題点、改善したい点なども明確にしておくと、さらに良いでしょう。

お問い合わせ後、業者より電話などで、お問い合わせ情報に関してより詳細なヒアリングがあることが一般的です。

お見積りに関しては、建物の状況や、坪数などから概算見積りを出してもらえる場合もありますが、正確な見積りをもらうためには、業者の現地訪問による現場調査(現調)が必要となります。
そのため、訪問日程の調整も行っていきます。

業者とのやり取りの中で、疑問点や相談に丁寧に回答してくれるか、回答のスピードは速いかもチェックしておきましょう。

現場調査(現調)

現場調査(現調)では、以下のような内容を確認・調査します。

・屋根の素材や形状から、塗装の面積と必要な塗料の量を割り出す
・劣化や汚れの程度、塗膜の剥離やひび割れの有無などをチェック
・塗装工事の際、保護する必要のある設備などを確認
・塗装工事の安全確保のため、作業環境を確認

現場調査は、正確なお見積りや、最適な塗料・工法の提案を受けるために重要な工程となります。

調査時間は、建物の大きさなどの条件にもよりますが、60分程度を見ておくと良いでしょう。

提案・見積書の提出

現場調査やヒアリングの内容をもとに、提案・お見積りを受けます。

提案には、塗装工事の概要や必要な作業内容、塗料の性能説明、工事期間と工程スケジュール、アフターサービスなどが含まれています。

お見積書は、合計金額だけでなく、具体的な費用内訳が明記されているか確認しましょう。
内訳が明記されていれば、予算管理や、予算オーバーの際のオプション選択、相見積もりの比較に役立ちます。

なお、波形スレート屋根の改修では、法令により一部の作業に対して、石綿(アスベスト)調査が義務づけられています。建物の状況や改修方法によっては、見積書の内約にアスベスト対策が含まれる場合があります。
以下の記事にて、アスベスト関連法令の修繕・改修工事における注意点について詳しく解説しておりますのでぜひご一読ください。

契約(依頼)

提案・見積書の内容を詳細に確認・検討していきます。
不明点や気になることがある場合は、気軽に業者に尋ねましょう。
内容に納得ができれば、業者へ連絡し契約締結、正式な工事依頼となります。

屋根塗装工事開始から完工までの流れ

屋根塗装工事は以下の流れで行われます。
ここでは、以下の条件の倉庫を改修すると仮定して説明をします。

<条件>
・屋根塗装 合計面積 1000㎡
・初めての塗り替え
・昇降足場のみ設置
・塗装工程は3名で作業

このような倉庫の場合、雨天等の予備日を入れて工期はおおよそ2週間必要となります。
屋根の素材や面積、勾配、劣化状況、工法などによって工期は前後します。

【作業開始前】現場確認

作業開始前に、現場確認が行われます。

このとき、足場の設置や塗装作業の障害になりそうなものは移動させることになります。
業者が勝手に物を動かすと、後々トラブルになる可能性があるため、依頼側の担当者も立ち会いが求められます。
大事に扱ってほしいものや塗料で汚されたくない設備、植栽などがあれば、しっかり伝えておきましょう。

【1~2日目】昇降足場・スタンションの設置

屋根の塗装は高所作業となるため、塗料や高圧洗浄機を屋根に運ぶための昇降足場(階段状の足場)を設置します。
さらに、作業時の墜落・転落を防ぐために、安全対策として、スタンション(※1)を屋根上に設置し、四方に親綱(※2)を張ります。

通常、足場は専門業者に委託となります。そのため、設置時には、塗装業者だけでなく、足場業者も現場を出入りすることになります。

足場組立時には大きな音がすることがありますので、気になる場合は音の程度や時間帯を確認しておくと良いでしょう。

※1 スタンション:屋根などの高所作業の際に、作業場の縁など転落の可能性のある個所に取り付ける支柱。親綱をかけて、転落を防止する。
※2 親綱:作業員が着用する安全帯(命綱の付いたベルト)を引っかけるためのロープ。

【3日目】高圧洗浄

高圧洗浄機を使って、屋根に付着した埃や汚れ、苔、剥がれかけた塗膜などを取り除きます。
汚れが残ると、仕上がりに影響するだけでなく、せっかく塗り替えた塗装が剥がれることもあるため、洗浄は丁寧に行われます。

高圧洗浄だけでは除去できない汚れ、サビなどは、ワイヤーブラシ、サンドペーパー等を用いてきれいに落とします。

なお、波形スレート屋根に関しては、アスベストが含まれているもしくは含まれているとみなして、アスベストの飛散防止対策が必要となる場合があります。
洗浄水を回収したり、高圧洗浄をせずにごみやチリの清掃のみを行って次工程に移ったりと、飛散防止対策は様々です。
どのような対応がベストなのかは、専門業者による現場調査結果をもとに決めていくことが重要です。

【4~5日目】下地処理(養生・シーリング補修など)

養生シートを使って、明り取り窓などの塗装しない箇所を覆います。
また、シーリングが切れている箇所は補修を行います

下地処理が十分に行われていない場合、上から塗料を塗装しても、綺麗に仕上がらず、場合によっては早々に劣化症状が表れてしまうことがあるため、重要な工程です。

【6~7日目】下塗り塗装

下塗り塗装は、塗料と屋根材の密着性を高め、上塗り塗装の耐久性を向上させるための工程です。

折板屋根の場合は錆による腐食を防ぐため、防錆効果を持つ下塗材を使用します。
波形スレート屋根の場合は、下地表面をしっかりと固めるために、浸透力の高い下塗材を使用します。

【8~10日目】上塗り塗装

下塗りが終わった後、一定の乾燥時間を空けてから、上塗り塗装を行います。
この乾燥時間は、メーカーが塗料ごとに規定しています。
乾燥時間を遵守することで、施工不良のリスクを回避し、耐久性を高める効果が期待できます。

上塗りは、塗装の厚みを確保するために2回塗りします。
(上塗り1回目を「中塗り塗装」、上塗り2回目を「上塗り塗装」と言う場合もあります)

【11日目】完工検査

塗装が終わったら、屋根塗装の仕上がりの確認および、塗り残した箇所が無いかの最終チェックを行います。
足場を解体すると、高所の補修は難しくなるため、慎重にチェックします。

この完工検査には、立ち合いが必要となります。気になる箇所があれば必ず確認しましょう。

12日目】昇降足場・スタンションの解体

最後に昇降足場とスタンションの撤去を行います。
足場設置時と同様に大きな音がする場合があるため、音の程度や時間帯を確認しておくと良いでしょう。

その後、塗装業者・足場業者が道具・廃棄物などを片付けて、塗装工事が完了します。

まとめ

業者選定方法から、塗装工事の流れまでを知っておくと、業者とのやり取りや、社内での様々な調整をスムーズに進めることができます。
また、各工程の重要性や屋根材の種類・劣化症状を知っておくことで、注意して確認すべきことが分かり、最終的に塗装工事の品質を高めることにもつながります。
ぜひ、この記事を参考に正しく理解しておきましょう。

最後に

アステックペイントでは、
工場・倉庫の通常の塗り替え工事のほか、暑さ・熱中症対策塗装や雨漏り・防水対策塗装など、各種塗装工事を承っております。

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