工場や倉庫は、夏場の室温上昇や空調負荷の増大、作業環境の悪化が大きな課題になりやすい場所です。とくに近年では熱中症対策の重要性が高まり、対応する企業も増えています。
工場の暑さ対策は、遮熱塗装・断熱改修・換気設備・空調更新など選択肢が多く、内容によって費用も高額になります。そこで役立つのが、補助金・助成金の活用です。要件を満たせば費用の一部を支援してもらえるため、負担を軽減できます。
しかし「工場の暑さ対策に補助金・助成金は使えるのか」「対象設備や申請方法がわからない」と悩む担当者も多いでしょう。本記事では、工場の暑さ対策で活用を検討できる補助金・助成金制度・対象工事・申請方法・導入判断のポイントをわかりやすく解説します。
目次
工場の暑さ対策に補助金・助成金は使える?
工場の暑さ対策は、条件を満たせば補助金や助成金を活用できる可能性があります。対象として挙げられるのは、遮熱塗装・断熱改修・空調更新・換気改善などです。
これらは省エネや労働環境改善を目的とした設備投資として評価されやすく、複数の制度で補助対象として検討される可能性があります。
ただし、暑さ対策であればすべてが補助されるわけではありません。工事の種類・規模・申請タイミング・設備の仕様など、さまざまな要件を満たす必要があり、制度によって対象範囲が大きく異なるため、検討時には事前確認が欠かせません。
代表的な補助金・助成金制度
二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(SHIFT事業)
環境省が所管するSHIFT事業は、工場や事業場における省CO2化を目的として、改修や設備の更新を支援する制度です。電化・燃料転換・熱回収などにより、CO2排出量を工場・事業場単位で15%以上、または主要なシステム系統で30%以上削減する設備導入等が主な対象です。高効率な空調設備への更新や断熱性能の向上など、CO2削減効果が見込める工事が対象になります。工場で大規模な暑さ対策を行う際に有効です。
ただし、令和7年度以降は蒸気システム・空調システム・給湯システム・工業炉・CGSに関する単純な高効率化改修は補助対象外となっています。また、着工前の交付決定が必須です。事前のCO2削減計画書の作成・提出が必要なため、申請ハードルはやや高めです。
| メニュー | 補助率 | 補助上限額 | 対象の目安 |
|---|---|---|---|
| 省CO2型システムへの改修支援事業(標準事業) | 1/3 | 1億円または5億円 | 電化・燃料転換等でCO2を事業場単位15%以上削減 |
| 省CO2型システムへの改修支援事業(大規模電化) | 1/3 | 1億円または5億円 | 電化・燃料転換かつ4,000t-CO2/年以上削減 |
| DX型CO2削減対策実行支援事業 | 3/4 | 200万円 | DXシステムを用いた設備運用改善・省CO2化(中小企業等) |
※公募スケジュールは年度ごとに変わります。最新情報は環境省SHIFT事業サイトでご確認ください。
ものづくり補助金
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業・小規模事業者の革新的な製品・サービス開発や生産性向上につながる設備投資を支援する制度です。制度自体は工場の暑さ対策に直接関係するわけではありませんが、生産環境の整備や省エネ設備の導入と事業計画を関連付けられる場合には、対象設備として申請を検討できるケースがあります。
なお、2026年度以降はものづくり補助金と新事業進出補助金が統合される予定があり、制度が変わる可能性があります。申請前に最新の公募要領を必ずご確認ください。
| 申請枠 | 補助率 | 補助上限額 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型) | 中小企業:1/2 小規模事業者:2/3 |
1,500万円〜2,500万円 (従業員規模による) |
大幅賃上げ特例で最大2,500万円~3,500万円まで引き上げ可能 |
| グローバル枠 | 中小企業:1/2 小規模事業者:2/3 |
最大3,000万円※現行制度での上限値 | 大幅賃上げ特例で最大4,000万円まで引き上げ可能 |
※補助下限額は100万円。最低賃金引上げに取り組む場合、補助率が2/3に引き上げられる特例があります(中小企業のみ)。補助上限額は従業員数・賃上げ要件によって変わります。最新の公募要領でご確認ください。
中小企業新事業進出補助金(新事業進出補助金)
旧・事業再構築補助金は2025年3月(第13回公募)をもって新規申請受付を終了しました。現在は後継制度として「中小企業新事業進出補助金(新事業進出補助金)」が2025年4月から運用されています。
新事業進出補助金は、中小企業が既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援する制度です。暑さ対策工事そのものを直接目的とした申請は難しいですが、新規事業立ち上げに伴う生産拠点の環境整備として関連付けられる場合には、申請を検討できる可能性があります。採択要件は厳しく、「既存事業と異なる製品・サービスで新規顧客層への進出」が前提条件となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2 |
| 補助上限額 | 2,500万円〜7,000万円(従業員数による) 大幅賃上げ特例適用で最大9,000万円 |
| 補助下限額 | 750万円 |
| 主な対象経費 | 建物費・機械装置費・システム構築費・広告宣伝費 等 |
| 主な要件 | 既存事業と異なる新製品・サービスで新規顧客層への進出、付加価値額年平均+4%以上、給与支給総額年平均+3.5%以上 等 |
| 申請対象 | 中小企業・小規模事業者等(みなし大企業を除く) |
※公募回数・スケジュールは都度変わります。最新情報は中小企業庁の公式サイトでご確認ください。
工場の暑さ対策で活用できる補助金・助成金制度の探し方
工場の暑さ対策に使える補助金・助成金は、国だけでなく都道府県や市区町村でも制度を設けています。国の制度とあわせて、導入を検討している地域の自治体制度も探すことが大切です。
補助金検索サイトを活用する
幅広い選択肢から検討したい場合は、補助金検索サイトの活用がおすすめです。代表的なサイトは以下の3つです。
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- J-Net21(中小機構):国や自治体の補助金制度を一括検索。市町村単位の絞り込みやフリーワード検索が充実しており、自社に関係しそうな制度をスムーズに確認できます。
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- 環境省 事業者向けページ:主にCO2削減・省エネを目的とした補助制度を掲載。SHIFT事業をはじめ、工場の省エネと暑さ対策を両立する際に参考となります。補助金以外の委託事業も検索できます。
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- 補助金ポータル:地域・業種・上限金額など細かく絞り込めるのが特徴。無料診断や専門家への相談も利用できるため、制度に詳しくない方でも申請まで繋げやすいサービスです。
自治体制度を直接調べる
自治体独自の制度は、検索サイトに掲載されていないケースもあります。「自治体名 工場 補助金 暑さ対策」や「自治体名 省エネ改修 助成金」といったキーワードで直接検索すると、各自治体の制度を見つけやすくなります。国の制度より工場・倉庫向けの暑さ対策を対象にしている場合もあるため、あわせて確認することをおすすめします。
補助金・助成金申請の基本的な流れとよくある失敗
補助金・助成金の申請では、工事の前に申請するのが原則です。契約や着工後に申請すると補助対象外になるケースがあるため、制度・申請要件の確認はできるだけ早い段階で行ってください。
STEP1. 課題と実施したい暑さ対策を整理し、対象制度を探す
まず、断熱不足・空調不足など工場が熱い原因を整理し、実施したい暑さ対策の内容を決めます。決まった内容をもとに、J-Net21や環境省のサイトを活用して対応する制度を探してます。初期段階で、対象工事に含まれるか・申請枠はどれか・公募中かどうかを確認しておくことが重要です。
STEP2. 必要書類を準備し、補助金・助成金を申請する
利用したい制度が決まったら、見積書や決算書などの必要書類を準備します。決算書は経営状況の確認に、見積書は設備投資金額の裏付けに必要です。あわせて、工事の必要性と期待される効果を示す計画書を作成し、公募要領の審査条件を満たしていることを示しましょう。
STEP3. 採択・交付決定後に工事を実施する
採択の決定通知を受けたあと、交付申請手続きを行います。交付申請では補助対象経費として適切かどうかが審査されます。交付決定の通知が届いたら補助事業の開始です。決定後は定められた期間内に、発注から導入設備・事業の評価までを完了させる必要があります。
完了後は実績報告として、実際に施工した内容・支出を証明する書類を提出します。書類の不備は補助金・助成金の受け取りに影響するため、証拠書類は工事中から適切に保管しておきましょう。
よくある失敗例
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- 工事を先に始めて補助対象外になる
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- 対象工事かどうかを十分確認せず、結果的に補助が受けられない
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- 効果算定や根拠資料が不足し、採択されない
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- 申請期限を見落として不採択になる
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- 対象経費と対象外経費を分けずに申請して減額や不採択になる
どの項目も、事前に十分確認することで防げます。
工場の暑さ対策は補助金・助成金を活用できる可能性があるが、制度確認と事前準備が重要
工場の暑さ対策のなかでも、遮熱塗装・断熱改修・空調更新・換気改善などは、補助金や助成金を活用できる可能性があります。ただし制度ごとに対象工事・申請条件・補助率・上限額が異なるため、事前の情報収集が必要です。現地調査・見積・制度確認を一つずつ進めることで、判断しやすくなります。
アステックペイントでは、ヒアリングや現地調査を無料で行ったうえで、適した暑さ対策をご提案させていただきます。
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