夏場、工場や倉庫の屋内が耐えられないほど暑くなる——そのような課題を抱えていませんか。

折板屋根や波形スレート屋根は、夏場の太陽光によって表面温度が70℃以上に達することもあります。
屋根材の厚みは、折板屋根は0.6〜1.2mm、波型スレート屋根は約6mmと薄く、熱が屋内に伝わりやすい構造です。この温度上昇を塗装で抑えるのが「遮熱塗装」です。

この記事でわかること:
 ・遮熱塗装の仕組みと、遮熱塗料に関するJIS規格の内容
 ・遮熱顔料・中空ビーズそれぞれの遮熱の仕組み
 ・実際の工場での施工事例(屋根表面温度・室内温度の変化データ)
 ・遮熱効果を長持ちさせる塗料の選び方

この記事が役立つ方:
 ・工場・倉庫の夏場の暑さや熱中症リスクに悩んでいる担当者の方
 ・遮熱塗装の効果を数値データで確認したい方
 ・遮熱塗料の選び方や製品の違いを知りたい方

夏場の工場・倉庫屋根はなぜ熱くなるのか

夏場の工場・倉庫屋根はなぜ熱くなるのか

工場・倉庫に多く採用されている折板屋根(金属屋根)や波形スレート屋根は、夏場に太陽光を受けると表面温度が70℃以上に達することがあります。
これらの屋根材は厚みがないため、屋根が吸収した熱が短時間で屋内に伝わってしまいます。

その結果、屋内温度が上昇し、作業環境の悪化や熱中症リスクの高まりにつながります。
室内温度の上昇は、従業員の健康被害だけでなく、生産性の低下や事故リスクにも影響します。
空調設備を稼働させても効きにくくなるため、光熱費の増加を招くこともあります。

こうした課題に対して有効な手段のひとつが、屋根への遮熱塗装です。
屋根表面の温度上昇を塗装で抑えることで、屋内への熱の侵入を軽減し、室内環境の改善と省エネを同時に図ることができます。

遮熱塗装とは?

遮熱塗装とは、太陽光に含まれる近赤外線を反射し、塗装面の温度上昇を抑える性質(遮熱性)を持つ塗料で行う塗装のことです。

屋内への熱の侵入を防ぐとともに、空調の効率を高める効果が期待できます。

遮熱塗料に関するJIS規格(JIS K 5675)とは

屋根用遮熱塗料には、「JIS K 5675 屋根用高日射反射率塗料」という日本工業規格が定められています。この規格は、建築物の屋根・屋上の塗装に用いる自然乾燥形エナメル系の塗料を対象としたものです。

規格では、塗料に光を照射して反射率を測定する試験により、日射反射率の基準への適合を判定します。

同じ製品であっても、色によって反射率に差があり、白色に近いほど遮熱性を発揮しやすい傾向があります。

鋼板者率塗料と一般塗料の比較


以下の赤い範囲が、JIS K 5675の日射反射率規格に適合しています。

鋼日射反射率塗料の規格領域

明度別の日射反射率基準

JIS K 5675では、塗料の色の明度に応じて以下の3段階の基準が設けられています。

明度区分色のイメージ遮熱塗料と認定される基準
明度80以上(高明度)白に近い色日射反射率80%以上
明度40以上80未満(中明度)中間色明度の数値以上の日射反射率
明度40未満(低明度)濃いグレー~黒に近い色日射反射率40%以上

低明度の色は近赤外線を吸収しやすく、反射率が低くなりやすい性質があります。そのため、高明度の色と比べて基準値が低めに設定されています。

外壁用遮熱塗料には性能基準がない

上記のJIS規格は「屋根用塗料」にのみ適用されます。外壁用遮熱塗料については、現時点でJIS規格が存在しません。
性能基準が設けられていないため、メーカーが独自の判断で遮熱塗料と謳うことができるのが実情です。

塗料を選定する際には、この点を踏まえてメーカーへの確認や性能データの確認が重要です。

なお、アステックペイントでは外壁用遮熱塗料についても、屋根用のJIS規格と同じ評価方法を用いて基準に合格した塗料のみを遮熱塗料として定義しています。

遮熱塗料の種類と遮熱の仕組み

遮熱性比較イメージ

建築用の遮熱塗料は、主に2種類に分類されます。
それぞれの仕組みと特徴を理解した上で、用途に合った塗料を選ぶことが大切です。

① 遮熱顔料を使用した遮熱塗料

太陽光の近赤外線領域を効果的に反射する「遮熱顔料」を配合した塗料です。

太陽光は波長の長さによって、紫外線・可視光線・近赤外線の3つに大きく分けられます。

種類波長特徴
紫外線100~400nm建材・塗膜の劣化要因
可視光線400~780nm人間の目で見える光
近赤外線780~2500nm建材が熱を持つ要因

この中で、建材の温度を上昇させる主な要因となるのが近赤外線です。
遮熱顔料を配合した塗料を塗装することで、近赤外線を反射し、建物への熱の侵入を軽減できます。その結果、室内温度の上昇を抑える効果が期待できます。

② 中空ビーズを使用した遮熱塗料

「中空ビーズ」と呼ばれる、空気層を持つセラミックを塗料に混合した塗料です。塗膜内に空気の層ができることで熱が伝わりにくくなり、遮熱効果を発揮します。また、セラミック自体にも太陽光を反射して熱を吸収しにくくする性質があります。

中空ビーズは「断熱塗料」にも使用される素材です。断熱塗料は、夏に室内への熱の侵入を抑えるだけでなく、冬は室内の熱を外に逃がしにくくする外断熱としても機能します。

実際の遮熱効果|工場での施工事例2件

遮熱塗装によって、実際の工場・倉庫の温度はどれくらい変化するのでしょうか。
ここでは、アステックペイントの屋根用塗料「超低汚染リファイン500Si-IR」を使用した施工事例を2件ご紹介します。

遮熱効果① 茨城県A社様(折板屋根)

茨城県の工場での折板屋根への施工事例です。

塗装前後の様子

■温度測定期間:2018年6月25日~7月13日
■測定箇所:屋根表面温度、天井裏温度(天井から2m下)
■7月3日~6日に塗装工事を実施し、塗装前後の温度変化を比較

外気温約34℃の環境下で、屋根表面温度は50℃以上に達していましたが、遮熱塗装後に大幅な低下が確認されました。
天井裏温度も8℃低下しており、屋内環境への改善効果が数値として示されています。

遮熱効果② 島根県K社様(折板屋根・テスト施工)

島根県の工場での折板屋根へのテスト施工事例です。

テスト施工での遮熱性比較

■温度測定期間:2018年8月23日(1日間)
■測定箇所:屋根表面温度、室内温度(屋根から1m下・外壁から30cm)
■折板屋根の半分に超低汚染リファインを塗装し、塗装面と未塗装面を同時に測定

【結果】
・屋根表面温度:16.3℃低下
・天井裏温度:2.0℃低下

屋根の半面だけを塗装し、同条件で同時計測を行ったテスト施工です。
未塗装面との比較により、遮熱塗装の効果を客観的に確認できる事例となっています。

2件の事例に共通しているのは、外気温約34℃の環境下でも屋根表面温度が50~60℃以上に達するという点です。
遮熱塗装によって屋根の温度上昇を抑えることで、屋内温度をそれぞれ8℃・2℃低下させることに成功しています。

なお、上記2件を含む全6件の施工データは「遮熱性・遮熱保持性データ資料集(全12P)」にて詳しくご紹介しています。

遮熱性・遮熱保持性データ資料集 無料ダウンロードはこちら!

遮熱効果を長持ちさせるための塗料選びのポイント

遮熱塗料は、経年とともに遮熱効果が低下していく傾向があります。
塗膜表面に汚れが付着すると、その汚れが熱を吸収してしまい、遮熱性能が落ちてしまうためです。

長期にわたって遮熱効果を維持したい場合は、「低汚染性を持つ遮熱塗料」を選ぶことが重要です。低汚染性とは、塗膜に汚れが付着しにくく、雨水などで汚れを洗い流しやすい性質のことです。

遮熱塗料を選定する際は、遮熱性能の初期値だけでなく、「遮熱保持性」——つまり経年後も遮熱効果が維持されるかどうかも合わせて確認することをお勧めします。

屋根用遮熱塗料「超低汚染リファイン500シリーズ」のご紹介

■【動画】超低汚染リファインシリーズの汚れにくさ

アステックペイントでは、遮熱性と低汚染性を兼ね備えた屋根用塗料「超低汚染リファイン500シリーズ」を提供しています。

【主な特長】
 ・緻密な塗膜構造により汚れが塗膜に刺さりにくい
 ・超低汚染性により付着した汚れを雨水で洗い流し、遮熱保持性を発揮
 ・特殊遮熱無機顔料の使用により、色持ちがよく太陽光の近赤外線を効率的に反射

塗膜が汚れると遮熱効果が落ちるという遮熱塗料のデメリットを、超低汚染性の塗膜性質でカバーしているのが特長です。

シリーズのラインアップは以下のとおりです。

製品名備考
超低汚染リファイン500Si-IRシリコン系
超低汚染リファイン500MF-IR無機フッ素系

無料遮熱テスト施工のご案内

アステックペイントでは、実際の遮熱効果をご自身の工場で確認いただける「遮熱テスト施工」を無料で承っています。

・他社メーカーの塗料との比較も可能
・専用の温度計とソフトで施工前後の温度差を詳細グラフ化

工場・倉庫の暑さ・熱中症対策として遮熱塗装をご検討の方は、まずはテスト施工でその効果をご確認ください。

以下のお問い合わせフォームより、テスト施工についてご相談いただけます。