※本記事は、工場・倉庫の「折板屋根(金属屋根)」「波形スレート屋根」の防水についての解説となります。
陸屋根(平らな屋根)・屋上の防水については解説しておりませんので予めご了承ください。
工場・倉庫屋根の老朽化により、屋根からの雨漏り・屋根材のひび割れ・サビ・塗装のはがれなど、不具合は見られませんか?
工場・倉庫は、適切なメンテナンスがあってこそ快適に使い続けることができます。
中でも「防水」は、建物自体の寿命を延ばし、建物内の設備を水濡れ被害から守る最も重要なメンテナンスのひとつです。
本記事では、工場・倉庫の折板屋根、波形スレート屋根の防水について
・防水のメリット
・防水メンテナンスが必要な時期
・防水工法
を詳しく紹介します。
目次
工場・倉庫屋根の防水で得られるメリット
工場・倉庫の防水機能が低下すると、当然、雨水などの水から建物を守ることができなくなり、結果的に建物の劣化、引いては雨漏りの発生につながります。
裏を返せば、メンテナンスにより工場・倉庫をしっかりと防水できれば、これらの被害を引き起こさないメリットがあるということです。
防水で得られるメリットと、それによる副次的なメリットは以下のとおりです。
メリット① 水による建材の劣化を抑え建物を長持ちさせる
工場・倉庫は、防水機能の低下により一度水が浸入する、金属金具や内部の鉄筋を腐食し、さらに、水の浸入を促すこととなり、劣化が加速度的に進行します。
そうなると、早期に大規模な改修・建て替えが必要となります。
メンテナンスを怠って、たったの20年~30年で雨漏りなどの症状に悩み建て替えするより、定期的なメンテナンスにより40年快適に使い続けた方が、総合的にオトクであることは言うまでもありません。
メリット② 工場設備を雨漏りから守る
防水機能の低下により雨漏りが発生した場合、機械設備が故障してしまう被害は決して少なくありません。
特に精密機械で基盤があるものですと、一度の水濡れだけでも重大な故障となり、修理や買い替えとなると数百万円、数千万円かかることも。
また、設備のストップによって、品質や予定の納期を守れなくなってなっては会社の信用も落ちることに繋がりかねません。
防水には、建物内の設備を守る、そして会社の信用を守る役割があるのです。
メリット③ 製品が水に濡れるのを防ぐ
雨漏りが発生すると、製造・保管している製品にも重大な被害を及ぼします。
食品や機械製品、紙製品・木製品・衣料、機械など多くの製品が、水濡れを起こすと、販売できなくなったり、価値が大幅に低下したりします。
大量の在庫があると容易に移動させることもできず、莫大な損失となります。
防水は大切な製品の品質・価値を保つために欠かせないのです。
副次的メリット① 生産性の向上
雨漏りでカビ・サビなどが発生すると、労働環境は悪化し、健康にも被害を及ぼす可能性があります。
防水によるメンテナンスで労働環境を清潔に美しく保てば、従業員が健康で気持ちよく働くことに繋がるでしょう。
清潔な職場は多くの方にとって魅力的でやる気もアップしますし、雇用を生み出すことにもなり、結果的に生産性も向上します。
副次的メリット② 企業のイメージアップ・景観美化
先ほどの雇用にも関連しますが、工場・倉庫が綺麗な美観であることは、その会社のイメージにも直結します。
一目見ての好感度も違いますし、建物を大切に使っていることは、環境にやさしい企業という印象にもつながります。
副次的メリット③ 漏電被害を防ぐ
雨漏りにより配線周りが劣化すると、漏電による感電や、機械の故障、最悪の場合、熱や火花による火災を引き起こすこともあります。
不要な事故を起こさないためにも防水メンテナンスは重要です。
防水が必要なタイミング
防水メンテナンスが必要なタイミングの目安は以下のとおりです。
新築もしくは前回の改修から10年以上経過している
建材や外部環境によって異なりますが、一般的には、新築もしくは前回の改修工事から10~15年ほどで建物の防水機能が低下してくるため、防水メンテナンスが必要な時期となります。
塗膜に色褪せやはがれが発生している
屋根表面の塗装に、色褪せやはがれが見られる場合も、塗膜として屋根を保護する機能がはたらいていませんので、検討タイミングとなります。
塗装は、使用する塗料によって耐久年数が変わりますので、前回塗装工事をした時期と、使用した塗料が分かれば、タイミングの目安となります。
屋根材に傷みが目立つ
屋根材自体のひび割れ、ゆがみ、ボルトのサビ、もしくはカビなどのひどい汚れが見られる場合は、早めに改修を検討する必要があります。
特にひび割れ、ゆがみ、ボルトのサビは、雨漏りの直接の原因となります。
雨漏りが発生している
雨漏りが発生しているということは、ボルトや建材のサビの進行、ひび割れ、建材の浮きなどが生じている可能性が高く、早急な検討が必要です。
水濡れやカビの発生、従業員の転倒事故など、大きな被害となる前に、専門業者へ原因の調査を依頼しましょう。
折板屋根・スレート屋根に適した防水工法 3選
建物の防水というと「防水シート」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし防水シートは厚みのあるシートを建材に接着するという性質上、折板屋根(金属屋根)や波形スレート屋根のような凹凸のある形状の屋根には施工できません。
折板屋根・スレート屋根では、基本的に「塗膜防水」か「二重折板」を選ぶことになります。
主な工法として次の3つがあります。
①防水塗装工法
既存の屋根を高圧洗浄し、フックボルトや傷んだ屋根材の交換、穴あき・ひび割れ箇所の防水処理を行ったうえで、防水塗料でコーディングします。
既存の屋根はそのままに、表面の塗装だけを塗り替えるため、
新しい屋根材も不要で、産業廃棄物を最小限に抑えることができ、コストを抑えられます。
塗料は屋根を保護するだけではなく、遮熱性などの機能を持つものもあります。
そのため、屋根の防水メンテナンスと同時に、暑さ・熱中症対策などを同時に行うことができるのもメリットです。
メリット | ・工事中も工場・倉庫が稼働できる ・他工法と比べ工期が短く、コストがかからない傾向がある |
デメリット | ・雨天時は施工ができない ・屋根の傷みがひどい場合は塗装できないことがある |
発泡ウレタン吹付工法
波型スレート屋根に発泡ウレタンを吹き付けることで、優れた耐久性と優れた断熱性を実現します。屋根材の補強と結合により、長い寿命を確保。
また、高い断熱効果により、室内の温度調節が容易になり、エネルギーコストの削減に寄与します。この提案によって、快適で経済的な屋根環境を実現します。
防水塗装工法と同じく、既存の屋根はそのままのため、産業廃棄物を最小限に抑えることができ、新しい屋根材も不要なので、コストを抑えることができます。
メリット | ・工事中も工場・倉庫が稼働できる ・下地自体の強度が増し、更に断熱性能が向上する |
デメリット | ・防水塗装費用の約2倍の費用が掛かる。 |
③重ね葺き工法(二重折板)
既存の屋根はそのままに、上から新しい屋根材を被せて施工する方法で、「カバー工法」とも呼ばれます。
新品の屋根の防水性を取り戻すことができ、屋根が二重になる分、断熱性・遮音性が上がるというメリットもあります。
ただし、屋根が二重になる分、屋根全体の重量が増すため、耐震性が低下する可能性があります。
また、雨漏りなどのトラブルが発生した場合、古い屋根に不具合があると調査が難しくなったり、メンテナンス費用がかさんだりする可能性もあります。
メリット | ・工事中も工場・倉庫が稼働できる ・断熱性・遮音性が向上する |
デメリット | ・屋根トラブル発生の際メンテナンス費用がかさむ傾向がある ・荷重がかかるため、耐震性が低下する |
防水工事は専門業者への依頼を!
工場・倉庫の防水工事は、現地にて実際の症状を確認した上で、お見積り・ご提案の流れとなります。
・雨漏りの原因
・既存の屋根の劣化状況
・工事が必要な面積
などによって、提案内容が変わるためです。
まずは、工場・倉庫の防水工事を扱っている専門業者に問い合わせを行い、現場調査日を設定しましょう。
問い合わせの際は下記の情報を準備しておくとスムーズです。
・工場の築年数
・屋根の種類(波型スレート・折板屋根)
・前回の塗装履歴
・平面図、立面図の有無
最後に
今回は工場・倉庫における防水のメリット・工事のタイミング・防水工法について紹介しました。
アステックペイントでは、防水塗料と防水補強材により屋根をシームレスに改修する防水塗装工事を承っております。
工場・倉庫の防水・雨漏り、営繕・改修に関してお困りごとがありましたらお気軽にご相談くださいませ。
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