大雨・台風による建物の突然の雨漏りにお困りではありませんか?
工場・倉庫における雨漏りは、建物の劣化を急速に促進するだけでなく、設備や在庫を濡らしてしまうなど深刻な被害をもたらします。
本来は早急に専門業者に調査・修理を依頼すべきですが、梅雨や台風時期などは修理依頼が殺到し、対応が当分先になることもあるでしょう。
本記事では、工場・倉庫の折板屋根からの雨漏りにお困りの方向けに、応急処置方法をご紹介します。
※折板屋根(金属屋根)の工場・倉庫に絞った内容となります。波形スレート屋根や外壁からの雨漏りには対応しておりませんのでご了承ください。
目次
【必読!】十分な安全性確保を!! 屋根に上る危険性
まず大前提として、慣れていない人が屋根の上で応急処置の作業することは賢明ではありません。
屋根工事中の事故で最も多いのが転落事故で、プロであっても命の危険性を伴います。そのため、必ず下記注意を守って、十分に安全に配慮してください。
【応急処置の注意事項】
・雨の日には上らない(足元が濡れていると滑落の危険性が非常に高い)
・2人以上で作業を行う
(1人は地上で待機し、梯子を使う際に支える等の補助、緊急時の連絡を行う)
・ヘルメットを必ず着用する
・最低限の作業にとどめる
・原因が特定できない場合は無理に調査・修理せず、専門業者に任せる
・応急処置後は専門業者への修理を依頼する
・屋根材が波形スレート屋根の場合は絶対に上らない
・屋根にトップライトが使用されている場合は絶対に上らない
※波形スレート屋根やトップライトは踏み抜きによる墜落の危険性が高いためです。
絶対に上らないようにしてください。
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応急処置の流れ
①原因の特定(雨漏れ箇所の特定)
まずは雨水の浸入経路を特定します。チェックポイントは以下の通りです。
(1)ボルトに錆は発生していないか

錆のひどいボルトが無いか確認します。
工場・倉庫の折板屋根における雨漏りの原因で最も多いのは、屋根材の固定に使われているボルトの錆です。
錆が進行すると腐食による隙間が生じ、そこから雨水が入り込みます。
(2)屋根材に穴はないか

穴の開いた屋根材がないか確認します。
折板屋根はボルトよりは錆に強いことが大半ですが、金属製のため、ボルトから錆をもらったり経年による錆で穴が開いたりすることがあります。
また、飛来物や、ボルトが錆で肥大化することにより屋根にひびが入り雨漏りするケースもあります。
(3)屋根材にひずみ・浮きはないか

屋根材同士のつなぎ目に隙間があるところはないか確認します。
折板屋根は、経年による金属素材の伸縮・膨張や、強風や地震などによって歪みを生じます。
隙間ができるとそこから雨漏りが発生してしまいます。
いずれの原因も、被害が屋根全体にわたる場合では、専門業者でないと処置は難しくなります。
範囲が狭く、原因が何なのか明確に分かった場合にだけ、次の応急処置に進んでください。
② 応急処置
雨水の浸入箇所、範囲によって下記の応急処置を行います。
(1)防水テープで穴を塞ぐ
<こんな場合に有効>
・防水テープでの応急処置は、錆で折板屋根に穴が開いている場合
・屋根材のわずかな浮きにより隙間が開いている場合
防水性のある粘着テープを雨水の浸入箇所に貼るだけなので簡単作業です。防水テープを貼りつける前に、必ず貼りつけ箇所をしっかり水拭きして汚れを落とし乾燥させてください。テープの剥がれを防ぐことができます。
また、テープ購入の際には「屋外用」を選ぶようにします。
(2)ブルーシートで被害箇所を覆う
<こんな場合に有効>
・雨漏りの原因箇所が比較的広い場合
雨水が浸入している疑いのある箇所を覆うことで、一時的に雨水を建物内部に入れるのを防ぎます。
古典的な手法ですが、効果は高いです。
シートが浮いていたり、風にあおられたりしては意味がないため、防水テープを使い、屋根材に沿ってきちんと留めるのがポイントです。
(3)シーリング材を隙間に充填する
<こんな場合に有効>
・ボルト付近等、防水テープによるテーピングで止められない場合
シーリング材(充填材)により雨漏りの原因となる穴や隙間を埋めます。
シーリング材は種類が多いため購入時には注意してください。
屋外用かつ金属用の変性シリコーン系シーリング材を選びましょう。
※変性シリコーン系シーリング材とシリコーン系シーリング材は異なる製品です。
シリコーン系シーリング材は含有成分のシリコーンオイルにより、応急処置後の塗料の付着性を阻害する要因となるため、塗装改修工事の下地処理に工数が必要になります。
シーリング材はチューブタイプとカートリッジタイプがあり、少量の使用であればチューブタイプ、使用量が多い場合はカートリッジタイプを選択します。
カートリッジタイプは専用の道具「コーキングガン」で押し出し施工する必要があります。
いずれにしろ慣れていないと、手や衣服、余計な個所を汚しやすく、難易度の高い作業となります。
防水テープが使える箇所であれば、防水テープでの応急処置を選びましょう。
あくまで一時的な処置 必ず専門業者に相談を!

工場・倉庫の折板屋根の雨漏りは、水が漏れている箇所が1か所であっても全体的に劣化が進行している恐れがあります。
修理費用を考えてどうしても後回しにしがちですが、その間にさらに建物全体の劣化を進行させてしまい、最終的な修繕費用もかさんでしまうことが、雨漏り被害の恐いところです。
応急処置を行って雨漏りが一時的に止まったとしても、必ず専門業者に調査を依頼し適切な補修・工事をしてもらいましょう。
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専門業者による雨漏り修理工事の流れ
専門業者へご相談されますと、多くの場合、以下の流れで雨漏り工事が進みます。
①現場調査
まず、現場調査にて雨漏りの原因箇所を特定します。目視調査のほか、散水調査、赤外線サーモグラフィーカメラなどを用いて雨漏りの経路を詳しく確認し、最適な工事内容を検討いたします。
目視:ボルトの錆や抜け、部材のずれ、シーリング材の劣化などを目視で確認し雨漏りの原因を調査します。
散水:実際にホースやバケツで水を流して雨水の浸入経路を特定します。
赤外線サーモグラフィーカメラ:物体が放出する赤外線エネルギーを検知し、温度分布を画像化することで雨漏りや水の浸入箇所を特定します。
※必ずしもすべての調査方法が実施されるとは限りません。
②見積もり作成
現場調査の内容に基づき、工事内容、費用、工期などを記載した見積書を作成します。
③工事開始
見積書の内容や説明に不明な点がなく同意に至ると、着工となります。
主な雨漏り補修工法は以下の通りです。
- シーリング工事: 雨漏りの原因となる箇所に新しいシーリング材を充填し、隙間を塞ぎます。
- 防水テープ処理: 雨漏りの原因箇所に防水テープを施工し、補修します。
- カバー工法: 既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねて設置し、補修します。
- 葺き替え工事: 既存の屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材に交換します。
雨漏りの原因や現状の劣化状況によって、最適な工事内容は異なります。雨漏りを根本的に解決するためには、やはり専門業者による診断が不可欠です。
雨漏りの再発防止のために行うこと
「雨漏りが発生したら補修工事をすれば大丈夫」と考えがちですが、実際に雨漏りが起きている場合、折板屋根に穴が開いていたり、外壁面のひび割れが生じていたりするなど、すでに構造体や建材の劣化が進行している可能性があります。
劣化が進むと、さらに深刻な雨漏りにつながるリスクが高くなります。
このような事態を未然に防ぐためには、雨漏りを再発させないことが非常に重要です。
雨漏りを再発させない有効な対策の一つとして、定期的な塗装によるメンテナンスが挙げられます。
塗装工事自体で、雨漏りを補修をすることはできませんが、塗装作業時には折板屋根の状態確認や、ボルトや隙間などの下地補修も丁寧に実施するため、雨漏りの未然防止や早期発見にも繋がります。
雨漏りの再発を防ぐためにも、ぜひ定期的なメンテナンスをご検討ください。
最後に
今回は雨漏りの応急処置についてご紹介しました。
繰り返しとなりますが、雨漏りは専門業者による抜本的な改修工事が不可欠です。
アステックペイントでは、工場・倉庫の折板屋根における雨漏り・防水対策として、防水塗装工事を承っております。
当社の防水塗装では、ボルトや折板屋根のつなぎ目部分に防水補強材を使用し、隙間をなくして一体化させます。
また、塗膜が風雨や紫外線などによる屋根材の劣化を防ぐため、屋根を長寿命化する効果もございます。
工場・倉庫の防水・雨漏り、営繕・改修に関してお困りごとがございましたら、下部のフォームよりお気軽にご相談ください。
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