「夏、工場内が非常に暑く、従業員の作業効率が落ちている」
「作業員の体調不良が頻発したり、熱中症を発症したりしている」
「毎年暑くなってくると、従業員が辞めてしまう」

といったお悩みをお持ちではないでしょうか?

このような工場・倉庫では、屋根の遮熱塗装がおすすめです。

この記事では、工場・倉庫屋根の遮熱塗装のメリットについて、事例も交えながら、詳しく解説していきます。

また、熱中症対策に対して以外の様々なメリットや、他の工法との比較、製品・業者選択のポイントについてもご紹介します。

なぜ工場・倉庫屋根の熱中症対策に遮熱塗装が有効なのか

工場・倉庫における熱中症の現状

年々夏の気温が上がる傾向にある中、熱中症対策はますます重要になっています。

総務省の報道資料によると、令和4年5月~9月の、全国における熱中症による救急搬送者数の累計は 71,000人以上にのぼります。
また、令和5年9月25日~10月1日速報値においても、救急搬送者数は91,000人以上と発表されています。

令和5年熱中症による救急搬送状況(週別推移)

参考:
総務省 令和4年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況
総務省 令和5年熱中症による救急搬送状況(週別推移)

また、令和4年の職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、827人(前年比266人・47%増)であり、全体の約4割が建設業と製造業で発生しています。
いかに、工場・倉庫が熱中症リスクの高い環境にあるかが分かります。

参考:令和4年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)

熱中症は時に命にも関わりますので、衛生管理の体制や教育を整えるだけではなく、労働環境そのものを見直し、熱中症の発症リスクを可能な限り低下させることが非常に大切です。

工場・倉庫で熱中症が起きやすい要因

工場・倉庫は、
・屋根が太陽光の熱を吸収しやすく、70℃以上まで温度が上昇する
・さらに、屋根は断熱が不十分である場合も多いため、熱が簡単に屋内に侵入する
・空間が広いため、空調がいきわたりにくく、熱や湿気がこもりやすい

といった、建物の構造的な要因で、高温・多湿になりやすいです。

さらに、
・長時間体を動かし、体温が高くなる・疲労がたまる
・熱を発生させる機械が多く稼働していると、熱がこもりやすくなる

などの倉庫作業や製造作業の特性上、熱中症リスクが高まります。

工場・倉庫の営繕担当者は、これらの要因を考慮し、適切な対策を講じて、熱中症リスクを下げる必要があります。

なぜ遮熱塗装が熱中症対策に有効なのか

工場・倉庫において、遮熱塗装が熱中症対策につながるポイントは、以下の通りです。

・工場・倉庫の屋根に施工することで、屋根の温度上昇の原因となる太陽光を反射し、温度上昇を抑えることができる。結果、屋根からの熱の侵入を軽減できる。
・熱の侵入を軽減することで、空調(エアコン)の効果を底上げすることができる。

工場・倉庫の屋根は、面積が非常に広い分、熱の侵入量が多く、巨大なヒーターのように建物全体を暖めます。

逆に言うと、屋根の遮熱塗装を行うことで熱の侵入を大幅に削減し、効果的な熱中症対策を行うことができるのです。

遮熱塗装の実際の効果

遮熱塗装が屋根温度を下げる仕組み

遮熱塗装が屋根温度を下げる仕組みは、遮熱塗料の種類によって主に2つに分類できます。

① 遮熱顔料を使用した遮熱塗料

太陽光は波長の長さにより、紫外線・可視光線・近赤外線に分けられますが、この中で建材の温度を上昇させる(熱エネルギーとして吸収される)性質があるのが近赤外線です。
遮熱顔料は、この近赤外線領域の太陽光を効果的に反射する性質を持っています。

「遮熱顔料を使用した遮熱塗料」では、この遮熱顔料を塗料中に混合することにより塗装後に遮熱効果を発揮します。

② 中空ビーズを使用した遮熱塗料

中空ビーズと呼ばれる、空気層を持つセラミックを塗料に混合し、塗膜に空気の層を作ることで、熱が伝わりにくくなり遮熱効果を発揮します。
またセラミック自体にも太陽光を反射し熱を吸収しにくくする効果があり、より遮熱効果を高めています。

遮熱塗装による実際の温度低下効果【事例紹介】

実際の工場における遮熱塗装の施工事例を3件ご紹介します。

①茨城県の会社様(折板屋根の工場):天井裏温度が8℃低下

茨城県の折板屋根工場

茨城県の会社様では、6月25日~7月13日の間、屋根表面温度・天井裏温度(天井から2m下)を測定しました。
7月3~6日に塗装工事を行い、塗装前後での温度変化を比較しました。

※使用塗料:弊社の低汚染遮熱塗料「超低汚染リファイン500Si-IR」

→屋根表面温度は20.1℃低下、天井裏温度は8.0℃低下しました。

②島根県の会社様(折板屋根の工場):室内温度が2℃低下

島根県の会社様では、8月23日に、折板屋根の半分に遮熱塗料を塗装し、塗装面と未塗装面を同時に測定・比較しました。
測定箇所は屋根表面温度と、室内温度(屋根から1m下・外壁から30cm)の2か所です。

※使用塗料:弊社の低汚染遮熱塗料「超低汚染リファイン500Si-IR」

→屋根表面温度は16.3℃低下、屋内温度は2.0℃低下しました。

上記事例は、遮熱性・遮熱保持性データ資料集にてより詳しくご紹介しています。全6例を掲載しておりますのでぜひご覧ください。


遮熱性・遮熱保持性データ資料(全12P)
屋根用防汚遮熱塗料「超低汚染リファイン」の遮熱効果を実際の事例をもとにご紹介

>詳しい内容はこちら


③大阪府の会社様(折板屋根の工場):8月の「熱中症危険日」がゼロに!

大阪府の会社様では、同社安全衛生日誌より、「室内温度」「湿度」のデータを拝借し、熱中症の危険度を判断する数値WBGT値※を算出。
遮熱塗装未塗装であった2018年8月と、遮熱塗装後の2019年8月のデータを比較しました。

その結果、WBGT値における「熱中症危険日(31℃以上)」が8日→0日となりました。
遮熱塗装が熱中症対策としてしっかり機能していることが分かります。

暑さ指数(WBGT)とは?人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい ①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標です。WBGTが28℃を超えると熱中症「厳重警戒」、31℃を超えると「危険」とされています。

<参考>環境省 熱中症予防情報サイトより

遮熱塗装は、熱中症対策以外にもメリットが多い

遮熱塗装は、熱中症対策だけでなく、省エネ効果や建物の長寿命化、施工期間の短縮や低コストを実現するメリットもあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

省エネ効果による電気代削減

遮熱塗装の施工により、室内温度が下がるため、エアコンの使用時間や設定温度を抑えることができます。
これにより、エネルギー消費が削減され、電気代が節約できます。

また、エアコンや空調の負荷が軽減されることで、機器の寿命も延びる効果も期待できます。

長期的な屋根の劣化防止

折板屋根

遮熱塗装に限らず、塗装は、建材の保護機能も有しているため、雨や紫外線による建材の劣化や、雨漏りのリスクも低減されます。
これにより、建物の耐久性が向上し、長期的なメンテナンスコストが削減されることが期待できます。

環境負荷の低減

環境負荷低減

エアコン・空調効率の向上によりエネルギー消費のムダを減らすことは、CO2排出量削減につながります。
また、遮熱塗装により建物を長く使い、屋根の葺き替えや建て替えの頻度を減らすことができれば、建設廃棄物の削減することになり、環境負荷を低減します。

遮熱塗装以外の熱中症対策とその比較

遮熱シートによる熱中症対策のメリット・デメリット

遮熱塗装と同じく、屋根に施工して屋根の温度上昇を抑えられるのが、遮熱シートです。

遮熱シートは、ポリエチレン等の合成繊維にアルミ箔を貼付した層構造のシートです。
太陽光が屋根材に当たった際に発せられる「輻射熱」を反射することで、遮熱効果を発揮します。

■メリット

遮熱塗装と比較して、遮熱シートは施工性が高く工期が短い傾向にあります。また、遮熱塗装と同じく、屋根の長寿命化にもつながります。

■デメリット

遮熱塗装と異なり、屋根材の劣化自体を防ぐことはできません。
また、海沿いに立地している工場ではシートに錆が発生する可能性があり注意が必要です。

耐用年数は10年ほどで、高耐久な遮熱塗料よりはメンテナンス周期が早くなる傾向にあります。

エアコン・空調設備による熱中症対策のメリット・デメリット

■メリット

エアコン・空調設備による熱中症対策のメリットは、室内温度を短時間で下げることができる点です。また、パワーのある設備を導入できれば任意の温度まで室内温度を下げることができるのが大きなメリットでしょう。

■デメリット

デメリットとしては、運転に電気が必要なため、電気代が非常にかさむ傾向にあります。
また、稼働時間が長かったり、高温の屋内環境でハイパワーで使用したりする場合、機器の故障やメンテナンス費用も考慮する必要があります。

基本的には、屋根温度が50~60℃を超えるような、屋根からの熱の侵入が多い工場・倉庫においては、屋根の遮熱塗装を合わせて行うことがおすすめです。

空調効率が高まり月々の電気代を抑えることができますので、長期的に見ても熱中症対策に投入する費用を抑えられます。

遮熱塗装を選定する際の検討ポイント

遮熱塗装を選定する際の検討ポイントは、塗料の耐用年数(耐久性)と、遮熱以外の機能です。
また、塗装工事は専門的な技術・経験が必要となりますので、業者選定も重要なポイントとなります。

以下の3つのポイントを総合的に考慮して、最適な選択を行いましょう。

①耐用年数(メンテナンス周期、いつまで持たせたいか)

遮熱塗料をはじめとする塗料は、「樹脂」「添加剤」「顔料」「溶媒」の4つの成分でできいます。
このうち「樹脂」は塗料の骨格とも言える成分で、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂など様々な種類があり、塗料の耐用年数(耐久性)の目安となります。

次のメンテナンス時期(いつまで持たせたいか)を考慮して、予算とも相談しながら、樹脂を選ぶことが重要です。

なお、同じ樹脂の塗料でも、製品でもメーカーや製品によって耐久年数が異なる場合があるため、製品の情報はメーカーのパンフレットなどで必ず確認するようにしてください。

耐久年数の目安は以下のとおりです。

樹脂の種類耐用年数特徴
ウレタン塗料5~7年安価だが耐久性が低く、
屋根・外壁塗装に使われることは少ない。
樋などの付帯部では採用されることがある。
シリコン塗料7~10年価格と性能のバランスが良い。
建築用塗料としては多くの種類が販売されており、
近年では12年以上の耐候性を持つものもある。
フッ素塗料15年~コストは高いが、耐久性に非常に優れる。
次回塗装工事までの期間を延ばすことができる。
無機塗料15年~フッ素塗料より更にコストは高い傾向にある。
耐久性に非常に優れ、次回塗装工事までの期間を延ばすことができる。不燃性がある。

②遮熱以外の機能

遮熱塗料には、遮熱機能と同時にさまざまな機能を持つものがあります。
現状の工場・倉庫の劣化症状・悩みも加味し、使用する塗料の種類を決めることが大切です。

塗料の機能には以下のようなものがあります。
いずれも遮熱性能と同時に、機能を発揮します。

機能特長
低汚染機能表面に汚れが付きにくい、もしくは、付着した汚れを雨によってセルフクリーニングする機能。
特に遮熱塗装では、汚れが蓄熱して遮熱機能が落ちる場合があるため、遮熱機能を持続させるためには重要な機能。
雨水により表面が洗浄される「親水性塗料」、紫外線により汚れを分解する「光触媒塗料」などの種類がある。
防水機能塗膜が弾性を持ち、建材のひび割れに追随することで、建物内部への雨水の浸入を抑止する機能。
雨漏りを予防・抑制する効果が期待できる。
特に、暑さ以外に雨漏りが見られる工場・倉庫におすすめ。
※屋上・バルコニーなどで使用される防水材とは異なる。
防サビ機能サビ止めの効果で、サビの発生・再発を防ぐ機能。
特に折板屋根で海沿いであるなど、サビの発生しやすい立地の工場・倉庫でおすすめ。

③施工業者選び

塗装工事は、下地の状況・気候など様々な条件に左右されるため、専門知識と経験が不可欠となります。

施工業者を選ぶ際は、ホームページなどで、工場・倉庫の遮熱塗装の実績が豊富であるかどうか確認しましょう。

また、実際に見積りを依頼する場合は、担当者と相談しながら、現地訪問による調査(現調)を行い、塗装内容の提案を受けることになります。

現状の工場・倉庫のお悩みに寄り添って提案をしてくれるか、質問に丁寧に答えてくれるか、など、対応の誠実さもきちんと見て、業者を選ぶようにしてください。

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アステックペイントでは、
・汚れを防ぎ遮熱効果を保持する遮熱塗装
をはじめ、
・防水対策もできる遮熱塗装
・省コストな遮熱塗装

など各種遮熱塗装プランをラインナップしています。

遮熱塗料メーカーシェアNo.1(注釈入れる)の塗料メーカーである弊社と、工場・倉庫の施工実績豊富な優良施工店が連携し、高品質な遮熱塗装をご提供いたします。

現場調査・お見積りは無料にて承っております。
工場・倉庫の暑さ対策についてお困りごとがありましたら、どうぞお気軽にご相談くださいませ!

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