工場・倉庫の多くは折板屋根(金属屋根)や波形スレート屋根で構成されるものが多く、夏場は屋根の表面温度が70℃以上に達することもあります。この「暑さ」は作業効率の低下や熱中症リスク、冷房費の増加に直結する課題です。
遮熱塗装はこうした暑さ対策の選択肢の一つとしてよく挙げられますが、効果を正しく判断するには具体的な数値データが欠かせません。
そこでアステックペイントでは、屋根の構造や断熱材の有無といった条件をそろえて検証するため、実験環境としてプレハブ3棟を使い、遮熱塗装の効果を実測する実証実験を行いました。
本記事では、その実験方法と屋根温度・室内温度・消費電力の測定結果をそのまま公開します。
なお、本検証結果をまとめたYouTube動画もございますので、是非ご覧ください。
目次
遮熱塗装とは|工場・倉庫の暑さ対策における位置づけ
遮熱塗装は、太陽光に含まれる近赤外線を反射する塗料を使い、屋根・外壁の表面温度上昇を抑え、屋内への輻射熱の抑える塗装です。
屋外の熱が屋内へ伝わる速度そのものを遅くする「断熱」とは仕組みが異なり、表面温度の上昇そのものを防ぐため、特に夏場の効果が大きいのが特徴です。
遮熱塗装と断熱塗装の違いを詳しく知りたい方は「遮熱塗装と断熱塗装の違い」で解説しています。
実証実験の概要

今回は、同じ規模・同じ構造のプレハブ3棟を使い、塗装仕様以外の条件をそろえたうえで比較検証を行いました。
実験期間・場所
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期間 | 2023年6月30日~9月1日 |
| 場所 | 茨城県古河市(アステックペイント関東工場) |
| 施設規模 | 床面積13㎡・高さ2.3m(約8畳)のプレハブ3種 |
| 屋根・外壁構造 | 屋根:金属折板 / 外壁:金属複合パネル |
| 空調条件 | エアコン設定温度27℃で稼働 |
塗装仕様(3棟の条件)
| プレハブ | 屋根塗料 | 外壁塗料 |
|---|---|---|
| 未塗装 | 一般塗料(グレー) | 塗装なし |
| 遮熱塗装 (グレー) | 超低汚染リファイン500Si-IR(グレー) | 超低汚染リファイン1000Si-IR(グレー) |
| 遮熱塗装 (白) | 超低汚染リファイン500Si-IR(白) | 超低汚染リファイン1000Si-IR(白) |
測定は屋根表面温度・室内天井温度をサーモグラフィーと温度センサーで、消費電力はエアコンの使用電力量で比較しました。
工場・倉庫の屋根も同じく金属折板が主流であるため、この構造での結果は工場・倉庫の暑さ対策を検討するうえでも参考になります。
検証結果①:屋根表面温度は最大18.8℃低下

2023年7月31日の測定結果です。
| ①一般塗料 | ②遮熱塗装 (グレー) | ③遮熱塗装 (白) | |
|---|---|---|---|
| 屋根表面温度 | 74.2℃ | 66.3℃ | 55.4℃ |
| ①との温度差 | – | -7.9℃ | -18.8℃ |
同じグレー系の色で比較しても遮熱塗料により7.9℃低下し、遮熱効果の高い白色塗料では18.8℃という大きな低下が確認できました。
サーモグラフィーカメラで確認しても、屋根・外壁共に遮熱塗料を塗装した棟は、一般塗料の棟と比較して、表面温度が低いことが確認できます。
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※8月31日 サーモグラフィーの結果
検証結果②:天井温度は最大4.4℃低下

同日11:30時点、エアコン稼働中の天井温度です。
| ①一般塗料 | ②遮熱塗装 (グレー) | ③遮熱塗装 (白) | |
|---|---|---|---|
| 天井温度 | 38.8℃ | 37.1℃ | 34.4℃ |
| ①との温度差 | – | -1.7℃ | -4.4℃ |
屋根表面温度の低下が、室内温度の低下にもつながっていることが分かります。
また、室内温度の比較結果は以下のとおりです。
| ①一般塗料 | ②遮熱塗装 (グレー) | ③遮熱塗装 (白) | |
|---|---|---|---|
| 室内温度 | 29.0℃ | 26.8℃ | 26.6℃ |
| 一般塗料との 温度差 | – | -2.2℃ | -2.4℃ |
エアコンを稼働させている状態でも、2℃以上の温度差が出ることが確認できました。遮熱塗料を塗装することで、室内に侵入する熱が少なくなり、室内温度の上昇を抑えられることが伺えます。
検証結果③:エアコン消費電力は最大22.3%削減
2023年8月5日~9月1日の使用電力量(1kWhあたり40円で試算)です。
| ①一般塗料 | ②遮熱塗装 (グレー) | ③遮熱塗装 (白) | |
|---|---|---|---|
| 使用電力量 | 148.9kWh | 132.1kWh | 115.7kWh |
| 電気料金換算 | 約5,956円 | 約5,284円 | 約4,628円 |
| 削減率 | – | 11.3% | 22.3% |
約1か月の試算でグレー系は11.3%、白色は22.3%の消費電力削減となりました。小規模なプレハブでもこれだけの差が出ることから、屋根面積の大きい工場・倉庫であれば、削減される電力量・電気料金はさらに大きくなることが見込まれます。
なお、開口部の数・大きさや断熱材の有無によって効果の出方は変わるため、本結果はあくまで今回の実験条件下での数値です。
実験データ×実工場データで見る遮熱塗装の効果
本記事の数値は、条件をそろえたプレハブでの検証データです。一方で「稼働中の工場・倉庫ではどうなのか」が気になる方も多いはずです。
そこで、弊社の遮熱塗料で施工を行った企業様にご協力いただき、実際の工場・倉庫における遮熱効果をまとめた実績集をご用意しています。
条件を統制した実験データと、実際の稼働環境での実工場データをあわせて見ることで、工場・倉庫の暑さ対策としての遮熱塗装の効果をより立体的に判断いただけます。ぜひ、ご活用ください。

>関連記事:工場・倉庫の遮熱塗装|熱中症対策の効果と選び方 – 工場・倉庫の改修工事 | アステックペイント
まとめ
今回、条件を統制するために行ったプレハブでの実証実験では、遮熱塗装によって屋根表面温度が最大18.8℃、エアコン消費電力が最大22.3%低下するという結果が得られました。
工場・倉庫の暑さ対策は体感や印象ではなく、こうした具体的な数値をもとに検討することが失敗しない選び方につながります。
アステックペイントでは、遮熱塗料メーカーシェアNo.1(※)の塗料メーカーとして、汚れを防ぎ遮熱効果を保持する遮熱塗装をはじめ、防水対策もできる遮熱塗装や省コストな遮熱塗装など、各種遮熱塗装プランをラインナップしています。
現地調査・お見積りは無料で承っておりますので、暑さ対策の第一歩としてお気軽にご相談ください。
※ペイント&コーティングジャーナル 第3555号「屋根用・遮熱塗料特集」より