工場・倉庫において、主に天井裏(屋根裏)を中心に発生しやすい結露。
結露による主な被害として、カビやダニの発生による健康・製品品質への被害・転倒事故などがあげられます。
また、水分付着・サビの発生による製品・機械の故障や、建物自体の劣化によるメンテナンスコスト増もリスクです。
本ページでは、結露による被害リスクに加え、結露の原因と、その原因に対して有効な結露対策5つをご紹介します。
目次
結露による被害
結露により生じうる、被害・デメリットには下記のようなものがあります。
①カビの発生による健康被害・異物混入
結露で濡れた部分を放置すると大量のカビが発生します。
カビは見た目が悪くなり、悪臭の発生源となるだけではありません。アレルギー発症の原因となり、従業員に健康被害をもたらす可能性もあります。
また、カビの胞子が製品に混入すれば、品質が低下し信用問題に関わることも重大なリスクです。
カビは除去しても、環境が変わらなければ繰り返し発生するため、カビ除去とともに結露対策を行うことが重要です。
②ダニの発生による健康被害・品質低下
カビと同様に衛生環境に著しい悪化をもたらすのが、湿度上昇に伴うダニの発生です。
ダニは室温20~30℃・湿度60%以上でよく繁殖します。低温になると繁殖はしませんが、休眠して生き延びます。
結露のある湿度の高い工場・倉庫はダニにとって好条件です。
中でも発生頻度が高いのがチリダニとコナダニです。
チリダニは、人のフケ・アカなどのタンパク質系の餌、そしてカビの胞子などを餌とし、アレルゲンとなることで知られます。
コナダニは、広範囲の食品(小麦粉・砂糖・ドライフルーツ・味噌・削り節・チーズ等)・医薬品などを食害します。
繁殖力が非常に高く、食品工場・飼料工場などにおいて大量に発生し、製品の著しい品質低下をもたらします。
③床濡れによる転倒事故や、フォークリフトのスリップ事故
結露の水滴が床にたまると、従業員の転倒事故につながる危険があります。
また、フォークリフトやカートでスリップが発生すると、積み荷の転落、他の作業者への追突、転倒などの重大な事故につながりかねません。
事故防止の安全面においても結露対策は非常に重要です。
④サビの発生による設備部品の腐食・製品への被害
機械設備や鉄鋼製品を取り扱う工場では、サビの発生原因となります。
サビは湿度50~60%以上で発生しやすく、結露による水滴の付着も発生を急速に促します。
設備の金属部品が腐食した場合、交換が必要になります。
また、製造品にサビが発生すれば廃棄せざるを得ない場合もあり、量産工場においては大量の廃棄処分を出すことになります。
製品への結露の水滴の付着は保護シートなどで防ぐことができますが、大量の保管製品をカバーしたり、出荷サイクルの早い場合はカバーに手間がかかることになります。
⑤漏電による機械の故障・感電
結露でコンセントなどの電源周りや電気製品が濡れる場合は放置してはいけません。
回路がショートしたり、部品の一部が故障したりすることで、漏電や発火を起こし、製品が使えなくなる可能性もあります。
精密な機械は、故障の際の修理に相当な費用がかかるうえ、製造機械では製造をストップさせることになり、納期の遅れにつながります。
また最悪の場合、感電や火災など命に関わる重大な事故が起こる場合もあります。
各種結露防止カバーも販売されていますが、電気配線は屋根裏等、目に見えづらい箇所にあることも多く個別の対策をしづらいため、建物自体に結露対策を施すことが理想です。
⑥建材の腐食によるメンテナンスコスト上昇
結露の水は、建物自体の劣化にもつながります。
材質によっては内装が傷み、変形・脱落することもあります。
断熱材の場合、腐敗が進むとシロアリの繁殖にもつながり、さらに劣化を進行させることになります。
建物にとって水は大敵で、一度建材が腐食すると、さらに雨漏れやシロアリなどの劣化要因を招く、という負の連鎖で建物劣化はどんどん進行します。
早期の対策を打つことが、改修コストの低減につながるのです。
結露の原因は「湿気」と「屋内外の温度差」によるもの
結露は、空気中の水蒸気が冷やされることで水となり、物体の表面に水滴として付着する現象です。
空気は温度によって、保持できる水蒸気の量(飽和水蒸気量)が決まっています。温度が高くなるほど飽和水蒸気量は多くなり、逆に低くなるほど飽和水蒸気量は少なくなります。
そのため、空気が工場・倉庫の屋根や天井の近くで冷やされると、空気中に保持できなくなった水蒸気が水となって屋根や天井などに付着するのです。
結露の対策
工場・倉庫は、
・空間が広いため空調が行き渡りにくく湿気がたまりやすい
➡水蒸気量が多くなりやすい
・屋根の断熱をしていなかったり、断熱が簡易的であったりする場合が多い
➡外気の影響で屋根・天井付近の温度が低くなりやすい
といった原因から、一般的な住宅より結露が発生しやすい環境にあります。
これらの原因を取り除く・緩和することで、結露の発生を防ぐことができます。
①定期的に換気をして湿気を追い出す
最も手軽で、かつ効果的な対策方法です。
窓や入口を開放し、空気中の湿気を外へ追い出すことで結露を防ぐことができます。
コツは、窓や入口が複数個所ある場合は、対角線で2個所以上を開放することです。こうすることで効率的に広範囲を換気できます。
窓や扉を開けたままにしておくことはできませんので、開閉する時間を決めルーチンとして行うことが重要です。
メリット | ・費用をかけずに効果を得られる |
デメリット | ・時間帯によっては換気が難しい |
②シーリングファンにより空気を循環させる
換気だけで結露が改善されない場合には、シーリングファンの使用が効果的です。
天井に大型のファンを設置することで、工場・倉庫のような大空間でも空気を循環させ、湿気がこもるのを防ぐことができます。
さらに、副次的効果として、空調(エアコン)の冷房・暖房効率もアップし労働環境を改善できるというメリットもあります。
設置の際は、サイズや風量、設置する数などを、専門業者に確認しましょう。
メリット | ・一般にランニングコストは安い ・空調効率がアップする |
デメリット | ・初期費用がかかる |
③除湿機を設置し湿度を管理する
画像出典:amazon
シーリングファンの設置が難しい工場では除湿機の設置が効果的です。
ただし、家庭用に販売されている除湿機は、工場・倉庫のような広い空間ではほとんど効果がありませんので、業務用のものを使用します。
業務用除湿機には、床置きタイプ、天吊タイプ・小型タイプなど、さまざまな種類があります。
専門業者に相談して、最適なタイプ、数量、設置場所を検討しましょう。
レンタル業者も多いため結露のシーズンのみ利用するといった活用方法も可能です。
メリット | ・床置きタイプや小型タイプであれば工事不要 ・素早く導入が可能 |
デメリット | ・設置スペースをとる ・大空間では設置台数が増える分コストがかさむ |
④断熱塗料を施工し、屋内外の温度差を軽減する(断熱塗装)
※画像はイメージです。
断熱塗料による塗装は、夏の暑さや冬の寒さの軽減が主なメリットですが、同時に結露の発生を抑制する効果も見込めます。
先述のとおり、屋根や壁面の結露は、屋内の湿った暖かい空気が、冷たい屋根・壁面付近で冷やされることで発生します。
断熱塗料は、屋根や壁面などに施工することで建材が外気温の影響を受けにくくなり、温度の低下を抑制できるため、結露も発生しにくくなります。
塗装本来の役割として、屋根を保護する効果もありますので、結露対策とメンテナンスを同時に行うことができるのもメリットです。
メリット | ・屋根メンテナンス改修と同時に結露対策が可能 ・空調効率もアップする |
デメリット | ・塗装工事費用がかかる |
⑤結露防止塗料を施工し、屋内外の温度差を軽減・発生した結露も吸収
※画像はイメージです。
吸水能力の高い結露防止塗料を、結露の起きやすい部位に施工する方法です。結露が発生しても、塗膜が即座に結露水を吸収するため、水滴の付着や落下を防ぐことができます。
さらに、塗膜に厚みがあり熱伝導率も低いため、断熱効果があることも特長です。
断熱塗料同様、結露自体が発生しづらい環境をつくり、効果的な結露対策が可能です。
メリット | ・結露水の吸収と断熱の2つの機能で結露を防ぐ ・断熱効果により空調効率のアップも見込める |
デメリット | ・塗装工事費用がかかる |
結露対策としておすすめの「結露防止塗装」
弊社では工場・倉庫の結露対策として、結露防止塗料「ケツロナイン®」を使った「結露防止塗装プラン」をご提供しています。
ケツロナイン®の6つの特徴
①吸水能力が高い
膜厚1mmの分厚い塗膜を形成し、塗布した部位は1㎡あたり最大600mlの結露水を吸収します。
②調湿性
湿度が高いときは屋内の湿気を吸収し、湿度の低いときは放出する呼吸性があります。
③防カビ性が高い
配合材料に菌類に対しての忌避性があり優れた防カビ効果と持続性があります。
④断熱性がある
外部と屋内の温度差の影響を受けづらくなり、結露を起こしにくくなります。
⑤不燃性がある
防火材料(不燃材料/準不燃材料/難燃材料)として認定されています。
※シリーズのうち「ケツロナインじゅらく」は適用外
⑥鉄骨・鉄板結露防止
工場・倉庫のような結露の発生しやすい環境下でもしっかりと効果を発揮します。
■ケツロナイン®の性能実験!
ケツロナイン製品資料は以下の「資料をダウンロード」のボタンよりダウンロードいただけます。
※施工をご希望の場合、工場改修実績豊富な施工店をご紹介させていただきます。
工場・倉庫営繕ご担当者様が弊社より塗料を直接購入いただくことはできませんのでご了承ください。
結露にお困りの工場・倉庫営繕ご担当者様は、ぜひ対策にご検討ください。
次回記事では、結露の解説方法について詳しくご紹介させていただきます。
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※ケツロナイン®は菊水化学工業株式会社の登録商標です。
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