工場・倉庫の暑さ対策として、屋根への遮熱塗装が注目されています。遮熱塗装は、太陽光を反射して屋根温度の上昇を抑え、室内への熱侵入を軽減する工法です。
空調設備の増強と異なり、建物そのものの熱環境を改善できる点が特徴です。
この記事では、遮熱塗装が熱中症対策に有効な理由を、実際の施工事例データをもとに解説します。
あわせて、省エネ効果・屋根の長寿命化といった付随メリット、他工法との比較、塗料・業者の選び方まで網羅的にご紹介します。
この記事でわかること
- 工場・倉庫で熱中症が起きやすい構造的な理由
- 遮熱塗装が屋根温度・室内温度を下げるメカニズム
- 実際の施工事例による温度低下データ(3件)
- 遮熱塗装の選定ポイント(耐用年数・機能・業者)
この記事が役立つ方
- 工場・倉庫の熱中症対策を検討している営繕・施設管理担当者
- 遮熱塗装の効果や費用対効果を把握したい方
- 遮熱シートやエアコンとの違いを比較したい方
目次
工場・倉庫で熱中症が起きやすい理由
建物構造が生む高温環境
工場・倉庫は、その建物構造から高温・多湿になりやすい環境です。主な要因は以下の3点です。
- 屋根が太陽光の熱を吸収しやすく、70℃以上まで温度が上昇する
- 断熱が不十分な屋根では、熱が屋内に侵入しやすい
- 空間が広いため、空調が行き届かず、熱や湿気がこもりやすい
特に屋根は面積が非常に広く、まるで巨大なヒーターのように建物全体を温めます。
屋根からの熱侵入が、工場・倉庫の高温環境を生む主要因のひとつです。
作業環境が熱中症リスクを高める
建物構造の問題に加え、作業環境そのものも熱中症リスクを高めます。
- 長時間の身体作業により、体温上昇と疲労が蓄積する
- 熱を発生させる機械が多く稼働していると、室内温度がさらに上昇する
総務省の報道資料によると、令和4年5月〜9月の熱中症による救急搬送者数の累計は71,000人以上にのぼります。また、令和5年の同期間においては91,000人以上と発表されています。
さらに、令和4年の職場における熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は827人(前年比266人・47%増)であり、全体の約4割が建設業と製造業で発生しています。

(参考:総務省 令和4年・令和5年 熱中症による救急搬送状況 令和4年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値))
熱中症は時に命にも関わります。衛生管理の体制整備だけでなく、労働環境そのものを見直し、熱中症の発症リスクを可能な限り低減することが重要です。
遮熱塗装が熱中症対策に有効なメカニズム

屋根温度を下げる2つの仕組み
遮熱塗装が屋根温度を下げる仕組みは、使用する塗料の種類によって主に2つに分類されます。
① 遮熱顔料を使用した遮熱塗料
太陽光は波長の長さにより、紫外線・可視光線・近赤外線に分けられます。このうち、建材の温度を上昇させる(熱エネルギーとして吸収される)のが近赤外線です。
遮熱顔料は、この近赤外線領域の太陽光を効果的に反射する性質を持っています。遮熱顔料を塗料に混合することで、塗装後に遮熱効果を発揮します。
② 中空ビーズを使用した遮熱塗料
中空ビーズと呼ばれる、空気層を持つセラミックを塗料に混合した塗料です。
塗膜に空気の層を形成することで熱が伝わりにくくなり、遮熱効果を発揮します。また、セラミック自体にも太陽光を反射して熱を吸収しにくくする効果があり、遮熱性能をさらに高めます。
空調効率の底上げ効果
屋根からの熱侵入を軽減することで、既存の空調(エアコン)の効果を底上げできます。空調の設定温度を抑えたり、稼働時間を短縮したりすることが可能になるため、電気代の削減にもつながります。
遮熱塗装による温度低下効果【施工事例3件】
実際の工場における遮熱塗装の施工事例を3件ご紹介します。
①茨城県・折板屋根工場:天井裏温度が8℃低下

茨城県の会社様では、6月25日〜7月13日の期間、屋根表面温度・天井裏温度(天井から2m下)を測定しました。
7月3〜6日に塗装工事を実施し、塗装前後の温度変化を比較しています。
使用塗料:低汚染遮熱塗料「超低汚染リファイン500Si-IR」

→屋根表面温度:20.1℃低下 ・天井裏温度:8.0℃低下
②島根県・折板屋根工場:屋内温度が2℃低下

島根県の会社様では、8月23日に折板屋根の半分に遮熱塗料を塗装し、塗装面と未塗装面を同時に測定・比較しました。
測定箇所は、屋根表面温度と室内温度(屋根から1m下・外壁から30cm)の2か所です。
使用塗料:低汚染遮熱塗料「超低汚染リファイン500Si-IR」

→屋根表面温度:16.3℃低下 ・屋内温度:2.0℃低下
上記2件の詳細は、遮熱性・遮熱保持性データ資料集にてご確認いただけます。全6例を掲載しています。

③大阪府・折板屋根工場:熱中症危険日がゼロに
大阪府の会社様では、同社の安全衛生日誌より室内温度・湿度データを参照し、熱中症の危険度を判断する指標であるWBGT値を算出しました。
遮熱塗装前の2018年8月と、遮熱塗装後の2019年8月のデータを比較しています。
結果として、WBGT値における「熱中症危険日(31℃以上)」が8日→0日となりました。
遮熱塗装が熱中症対策として有効に機能していることが確認されています。
| WBGT(暑さ指数)とは? 人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、①湿度、②日射・輻射など周辺の熱環境、③気温の3つを取り入れています。WBGTが28℃以上になると「厳重警戒」、31℃以上になると「危険」とされています。 (参考:環境省 熱中症予防情報サイト) |

遮熱塗装の熱中症対策以外のメリット
遮熱塗装は、熱中症対策だけでなく、複数のメリットをあわせて得られる工法です。
省エネ効果による電気代削減
遮熱塗装の施工により室内温度が下がると、エアコンの使用時間や設定温度を抑えられます。
エネルギー消費が削減され、電気代の節約につながります。また、空調設備への負荷が軽減されることで、機器の寿命が延びる効果も期待できます。
屋根の劣化防止と長寿命化

塗装は遮熱機能だけでなく、建材を保護する機能も備えています。
雨水・紫外線による建材の劣化を抑え、雨漏りリスクの低減にもつながります。
建物の耐久性が向上することで、長期的なメンテナンスコストの削減が期待できます。
環境負荷の低減

空調効率の向上によりエネルギー消費を抑えることは、CO2排出量の削減につながります。
また、建物を長く使い続けることで屋根の葺き替えや建て替えの頻度を減らせれば、建設廃棄物の削減にも貢献します。
他の熱中症対策工法との比較
遮熱シートのメリット・デメリット
遮熱シートは、ポリエチレン等の合成繊維にアルミ箔を貼付した層構造のシートです。
太陽光が屋根材に当たった際に発生する「輻射熱」を反射することで、遮熱効果を発揮します。
■ メリット
- 遮熱塗装と比較して施工性が高く、工期が短い傾向にある
- 屋根の長寿命化にもつながる
■ デメリット
- 屋根材の劣化自体を防ぐことはできない
- 海沿いの工場ではシートに錆が発生する可能性があり、立地によっては注意が必要
- 耐用年数は10年ほどで、高耐久な遮熱塗料よりメンテナンス周期が早くなる傾向にある
エアコン・空調設備のメリット・デメリット
■ メリット
- 室内温度を短時間で下げられる
- パワーのある設備を導入すれば、任意の温度まで室内温度を下げることができる
■ デメリット
- 運転に電気が必要なため、電気代が大幅にかさむ傾向にある
- 稼働時間が長い場合や高温環境でのハイパワー使用では、機器の故障やメンテナンス費用も考慮が必要
屋根温度が50〜60℃を超えるような、屋根からの熱侵入が多い工場・倉庫では、空調設備と合わせて屋根の遮熱塗装を実施することをおすすめします。
空調効率が高まることで月々の電気代を抑えられるため、長期的に見ても熱中症対策にかかるコストを抑えられます。

遮熱塗装を選ぶ際の3つのポイント
①耐用年数(樹脂の種類と目安)
遮熱塗料は「樹脂」「添加剤」「顔料」「溶媒」の4つの成分で構成されています。このうち「樹脂」は塗料の骨格となる成分で、耐用年数の目安を左右します。
次のメンテナンス時期(いつまで持たせたいか)を考慮したうえで、予算とも相談しながら樹脂の種類を選ぶことが重要です。
なお、同じ樹脂の塗料でも、メーカーや製品によって耐久年数が異なる場合があります。 製品情報はメーカーのパンフレット等で必ずご確認ください。
| 樹脂の種類 | 耐用年数の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ウレタン塗料 | 5〜7年 | 安価だが耐久性が低く、屋根・外壁塗装に使われることは少ない。樋などの付帯部では採用されることがある。 |
| シリコン塗料 | 7〜10年 | 価格と性能のバランスが良い。建築用塗料としては多くの種類が販売されており、近年では12年以上の耐候性を持つものもある。 |
| フッ素塗料 | 15年〜 | コストは高いが、耐久性に非常に優れる。次回塗装工事までの期間を延ばすことができる。 |
| 無機塗料 | 15年〜 | フッ素塗料よりさらにコストが高い傾向にある。耐久性に非常に優れ、不燃性がある。 |
②遮熱以外の機能(低汚染・防水・防サビ)
遮熱塗料には、遮熱機能と同時にさまざまな付加機能を持つ製品があります。
現状の工場・倉庫の劣化症状や悩みも踏まえて、使用する塗料を選ぶことが大切です。
| 機能 | 特長 |
|---|---|
| 低汚染機能 | 表面に汚れが付きにくい、または付着した汚れを雨でセルフクリーニングする機能。 遮熱塗装では汚れが蓄熱して遮熱性能が低下する場合があるため、遮熱効果を持続させるうえで重要な機能。「親水性塗料」「光触媒塗料」などの種類がある。 |
| 防水機能 | 塗膜が弾性を持ち、建材のひび割れに追随することで、建物内部への雨水の浸入を抑止する機能。 雨漏りを予防・抑制する効果が期待できる。 暑さ以外に雨漏りが見られる工場・倉庫におすすめ。 ※屋上・バルコニーで使用される防水材とは異なる。 |
| 防サビ機能 | サビ止め効果により、サビの発生・再発を防ぐ機能。 折板屋根で海沿いの立地など、サビが発生しやすい工場・倉庫におすすめ。 |
③施工業者の選び方
塗装工事は、下地の状況・気候など様々な条件に左右されるため、専門的な知識と経験が不可欠です。
施工業者を選ぶ際は、ホームページ等で工場・倉庫の遮熱塗装の実績が豊富かどうかを確認しましょう。
見積りを依頼する際は、現地調査(現調)を実施したうえで塗装内容の提案を受けることになります。
現状の悩みに寄り添った提案をしてくれるか、質問に丁寧に答えてくれるかなど、対応の誠実さも業者選定の重要な判断基準となります。
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アステックペイントでは、
・汚れを防ぎ遮熱効果を保持する遮熱塗装
をはじめ、
・防水対策もできる遮熱塗装
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など各種遮熱塗装プランをラインナップしています。
遮熱塗料メーカーシェアNo.1※の塗料メーカーである弊社と、工場・倉庫の施工実績豊富な優良施工店が連携し、高品質な遮熱塗装をご提供いたします。
※ペイント&コーティングジャーナル第3555号「屋根用・遮熱塗料特集」より
現場調査・お見積りは無料にて承っております。
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