気候変動が深刻化する中、国内でも様々な企業がCO2削減に取り組んでいます。

特に製造業はCO2の排出が多い傾向にあり、工場・倉庫をお持ちの企業様でも、取引先からカーボンニュートラルの取り組みを求められることも多くなっていることでしょう。

本記事では、
・カーボンニュートラルに取り組むメリット
・工場・倉庫のカーボンニュートラルに「屋根の遮熱塗装」がおすすめの理由
・遮熱塗装の種類と選定ポイント

について解説します。

遮熱塗装により、CO2を削減した事例も掲載しておりますので、是非ご覧ください。

企業がカーボンニュートラルに取り組むメリット

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルは、二酸化炭素(CO2)をはじめとする温室効果ガスの排出量を削減し、削減できない量は、森林保全や植林活動など手段により吸収・除去することで、全体として実質ゼロにする状態を指します。

カーボンニュートラルに企業が取り組むメリット

カーボンニュートラルは、企業にとって3つメリットが存在します。

①競争力の向上

カーボンニュートラルへの積極的な取り組みを行うことで、企業の価値やブランドイメージが向上し、結果的に売上の維持・拡大が期待できます。

②資金調達が有利となる

CSR活動の一貫としてアピールできることから、金融機関や投資家からの信頼が高まり、資金調達がスムーズに進めやすくなります。

③光熱費や燃料費のコスト削減

省エネ効果や再生可能エネルギー利用により、光熱費や燃料費を削減。結果的に経営上のランニングコストを改善することができます。

従業員にとってのメリット

従業員にとってのメリットとして以下の2つが挙げられます。

①モチベーションの向上

今や、環境問題への取り組みの姿勢は、企業のブランドイメージを大きく左右する時代です。
それは、自社で働いている従業員にとっても同様です。
カーボンニュートラルへの取り組みを行い、社会問題や地球環境へ寄与することは、従業員の企業への共感や信頼につながります。

②人材獲得力の強化

特に若い世代や優秀な人材ほど、社会問題・環境問題に対して敏感で、企業の社会問題解決に対する姿勢を重視する傾向にあります。
企業活動の持続性をアップさせるためにも、カーボンニュートラルは有効です。

工場・倉庫のカーボンニュートラルの取り組みには「遮熱塗装」が効果的!

工場・倉庫のカーボンニュートラルへの取り組みに向けては、屋根の遮熱塗装が効果的であると言えます。

理由は以下の3つです。
・工場・倉庫のCO2排出量の約50%が電力部門によるもの
・遮熱塗装により空調(エアコン)の省エネを実現
・電力消費量の削減によりコストカット効果がある

さらに、
「暑さ対策」「熱中症対策」にも効果的である
ことも、遮熱塗装を選ぶ大きなメリットです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

工場・倉庫のCO2排出量の約50%が電力部門によるもの

工場・倉庫のカーボンニュートラル実現のためには、消費電力量の削減が必要不可欠です。

燃料種別エネルギー消費量(製造業)

令和2年度の資源エネルギー庁の資料によると、燃料種別エネルギー消費量において、製造業のエネルギー消費量は1,312PJで、うち電力が49.3%、蒸気・熱が20.2%、石油・石炭製品が17.1%、ガスが12.3%、再生可能エネルギー等が1.0%の順となっています。

さらに、電力部門のなかでも、夏場のエアコンなどの空調設備は、消費電力量の高騰の大きな原因となるため、空調設備の使用頻度・使用時間を減らすことこそが、カーボンニュートラル実現への有効なアプローチとなります。

※参照:資源エネルギー庁「令和2年度エネルギー消費統計結果概要」より

工場・倉庫の屋根の遮熱塗装で省エネを実現

工場屋根の温度上昇

遮熱塗装は、工場や倉庫の屋根に遮熱塗料を塗装することで、太陽光からの熱を反射させ、屋根の温度上昇を抑える効果がある塗装方法です。

工場や倉庫で使用されている折板屋根(金属屋根)や波形スレート屋根は熱を吸収しやすく、夏場には70℃以上まで温度が上昇することがあります。
これらの屋根は断熱性に乏しいことから屋根の熱が屋内にまで侵入してしまいます。

さらには、工場・倉庫の屋根は大面積で熱の侵入量が非常に多いことから、工場・倉庫内は室温が上がりやすく、空調が非常に効きづらい環境となるのです。

屋根への遮熱塗装により、屋根全体の温度上昇を抑えることができれば、それに伴って室内温度も下がります。

これにより、空調設備の負荷が軽減され、電力消費量が減少する効果が期待できるのです。

電力消費量の削減によりコストカット効果も

遮熱塗装によって電力消費量を削減することは、当然コスト面でも大きなメリットがあります。
工場・倉庫の内部温度が下がることにより、空調設備の使用頻度や稼働時間が減少し、電気代が削減されます。

また、空調設備の負荷が軽減されることで、設備の劣化や故障が減り、設備の寿命が延びる可能性もあります。
これにより、設備の更新や修繕にかかるコストも抑えられるでしょう。

工場・倉庫の屋根の遮熱塗装は、省エネとコスト削減の両面で効果を発揮し、企業の経営効率向上に貢献します。

カーボンニュートラル実現と同時に「暑さ対策」「熱中症対策」も可能!

前述のとおり、遮熱塗装は屋根の温度上昇を抑制し、熱の侵入を抑える効果があります。
そのため、屋内温度が非常に上がりやすい工場・倉庫において「暑さ対策」「熱中症対策」としても大変有効です。

屋内温度が下がれば熱中症リスクを下げることができ、離職率の低下にもつながります。

また、作業効率の向上も期待できます。

▼暑さ対策・熱中症対策については、下記記事よりご覧いただけます!

遮熱塗装の省エネ効果実例

遮熱塗装による消費電力量削減の実績をご紹介します。

福岡県にある屋根面積36㎡の倉庫では、遮熱塗料の施工前(8月)と施工後(8月)において、電気使用量が約25%、CO2量にして約32%の削減につながりました。
遮熱塗装が、カーボンニュートラルの取り組みに大きく貢献していることが分かります。

<物件情報>
福岡県 倉庫
施工箇所:屋根36㎡
施工下地:折板屋根(金属屋根)
建物寸法:周口7,000mm、奥行き19,000mm、高さ5,000mm

■電気料金およびCO2排出量(kg)の比較

遮熱塗装の選定ポイントと導入手順

実際に、自社の工場・倉庫で遮熱塗装を施工するにはどうすれば良いのでしょうか。

検討する上でのポイントは以下の2つです。
①遮熱塗装の耐久性・機能
②業者の選定
それぞれ解説していきます。

遮熱塗装の種類と選定ポイント

ポイント①塗料の耐用年数(メンテナンス周期、いつまで持たせたいか)

遮熱塗装には様々な種類があり、施工する塗料の種類によって耐用年数が異なります。
次のメンテナンス時期(いつまで持たせたいか)を考慮して、予算とも相談しながら、樹脂を選ぶことが重要です。

以下の耐用年数は目安です。
耐用年数は、同じ樹脂の塗料であっても、メーカーや製品によって異なる場合がありますので、必ずメーカーのホームページやカタログにて確認してください。

樹脂の種類耐用年数特徴
ウレタン塗料5~7年安価だが耐久性が低く、屋根・外壁塗装に使われることは少ない。
樋などの付帯部では採用されることがある。
シリコン塗料7~10年価格と性能のバランスが良い。
建築用塗料としては多くの種類が販売されており、近年では12年以上の耐候性を持つものもある。
フッ素塗料15年~コストは高いが、耐久性に非常に優れる。
次回塗装工事までの期間を延ばすことができる。
無機塗料15年~フッ素塗料より更にコストは高い傾向にある。
耐久性に非常に優れ、次回塗装工事までの期間を延ばすことができる。不燃性がある。

ポイント② 遮熱以外の機能

遮熱以外の機能を持ち合わせている遮熱塗料も存在します。
それぞれの特徴を把握して、自社の工場・倉庫に最も適した機能を持つ塗料を選択しましょう。

機能(遮熱以外)特長
低汚染機能表面に汚れが付きにくい、もしくは、付着した汚れを雨によってセルフクリーニングする機能。
特に遮熱塗装では、屋根表面に汚れが付着すると、蓄熱して遮熱機能が落ちてしまうため、遮熱機能を持続させるためには重要な機能。
雨水により表面が洗浄される「親水性塗料」、紫外線により汚れを分解する「光触媒塗料」などの種類がある。
防水機能塗膜が弾性を持ち、建材のひび割れに追随することで、建物内部への雨水の浸入を抑止する機能。
雨漏りを予防・抑制する効果が期待できる。特に、暑さ以外に雨漏りが見られる工場・倉庫におすすめ。
※屋上・バルコニーなどで使用される防水材とは異なる。
防サビ機能サビ止めの効果で、サビの発生・再発を防ぐ機能。
特に折板屋根で海沿いであるなど、サビの発生しやすい立地の工場・倉庫でおすすめ。

施工業者の選定ポイント

説明をする施工業者

工場・倉庫屋根の遮熱塗装は、塗装工事の専門業者(塗装店・工務店)に依頼することになります。

良い業者を選定するポイントは以下の3つです。

①工場・倉庫の施工実績が豊富であるか

塗装工事は、温度や湿度、施工方法に質が左右され、現場経験と知識が必要とされる、専門性の高い工事です。
建物塗装を行っている業者の中でも、工場・倉庫屋根の施工実績が豊富な業者を選びましょう。

ホームページの施工実績を閲覧したり、問い合わせにより詳細な参考事例を提供してもらい、実績の裏付けのある業者を見極めることが重要です。

②見積もりや提案内容が詳細で丁寧であるか

予算と計画の透明性は非常に重要です。
見積もりは内訳があり、詳細に記載してあるか、工場屋根の塗装の範囲、使用する材料、作業日程などが明確に記載してあるか確認しましょう。

③対応力とコミュニケーション能力

実際に見積りを依頼する場合は、担当者と相談しながら、現地訪問による調査(現調)を行い、塗装内容の提案を受けることになります。

現状の工場・倉庫のお悩みに寄り添って提案をしてくれるか、質問に丁寧に答えてくれるか、など、対応の誠実さもきちんと見て、業者を選ぶようにしてください。

遮熱塗装の流れ(最初の問い合わせから施工完了まで)

工場屋根塗装

一般的な流れは以下のとおりとなります。

工事期間は、工場・倉庫の広さ(施工面積)、使用塗料、天候にも左右されますが、おおよそ半月~2ヶ月程度を見ておくと良いでしょう。

①お問い合わせ問い合わせの際は下記の情報を準備しておくとスムーズです。
・工場の築年数
・屋根の種類(波型スレート・折板屋根)
・前回の塗装履歴・平面図、立面図の有無
②現場調査現場調査を行い、屋根の状況を確認します。
③見積提出・提案
④発注
⑤足場組立足場および養生シート(メッシュシート)を設置します。
⑥高圧洗浄表面の汚れや浮いた旧塗膜、サビを高圧洗浄機で除去します。
高圧洗浄だけで除去できない場合は、ワイヤーブラシ、サンドペーパー等を用いて落とします。
⑦養生塗装をしない部位をビニールシートや養生テープで保護します。
⑧下地処理フックボルトなどの金具の付け替え、金属部の防カビ・防サビ等の処理、ひび割れ・破損部分の補修作業等を行います。
⑨シーリング打替えシーリング材を撤去し、新たに施工します。
⑩下塗り塗装下地と上塗り塗装の密着性を高めるため、下塗用の塗料を塗装します。
⑪上塗り塗装多くの塗料では、ムラを防ぎ上塗性能をしっかり発揮させるため上塗塗料を2回塗りします。
それぞれ上塗1回目を「中塗り」、上塗2回目を「上塗り」と呼ぶ場合もあります。
⑫付帯塗装樋や金属部分などを塗装仕上げします。
⑬完工最終チェックを行い、養生、足場の撤去を行います。

まとめ

本記事では、カーボンニュートラル実現に向けて、工場・倉庫で取り組める具体的な方法として遮熱塗装を紹介しました。

近年、CO2削減だけではなく、電気料金高騰への対策も重要視されていますので、遮熱塗装を行うメリットは大きいと言えます。

今後、環境問題・社会問題への取り組みが企業の利益にも直結するようになっていくでしょう。
本記事が皆様のカーボンニュートラルへの取り組みの参考になれば幸いです。

最後に

アステックペイントでは、
・汚れを防ぎ遮熱効果を保持する遮熱塗装
をはじめ、
・防水対策もできる遮熱塗装
・省コストな遮熱塗装

など各種遮熱塗装プランをラインナップしています。

遮熱塗料メーカーシェアNo.1(※)の塗料メーカーである弊社と、工場・倉庫の施工実績豊富な優良施工店が連携し、高品質な遮熱塗装をご提供いたします。

現場調査・お見積りは無料にて承っております。
工場・倉庫の暑さ対策についてお困りごとがありましたら、どうぞお気軽にご相談くださいませ!

※ペイント&コーティングジャーナル 第3479号「屋根用・遮熱塗料特集」より

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