工場や倉庫における遮熱塗装と断熱塗装は、熱中症や暑さ対策、そして省エネに効果的であるだけでなく、建物のメンテナンスも同時に行えるのが大きな魅力です。

本記事では、「遮熱塗装と断熱塗装、どちらを選べばよいのか分からない」という方向けに、
・遮熱塗装の遮熱の仕組み
・断熱塗装の断熱の仕組み
・遮熱塗装と断熱塗装の性能・特徴の比較

について順に解説します。

1.遮熱塗装と断熱塗装の違い

遮熱塗装と断熱塗装は、いずれも建物屋内の温度上昇を抑える効果がある塗装ですが、その仕組みと効果には違いがあります。

遮熱塗装とは?室内温度上昇を抑える仕組み

遮熱塗装は、建物の温度上昇の原因となる太陽光の「近赤外線」を効果的に反射する特殊な塗装です。

工場・倉庫の屋根は夏場の晴天時には表面温度が70℃以上にもなります。
さらに工場や倉庫は建物構造が簡易的な場合が多いため断熱材も使用されていないことも多く、その熱が簡単に屋内に侵入してしまいます。

遮熱塗装を行うことで、屋根や外壁の表面温度の上昇を抑えることができ、結果として屋内への熱の侵入も抑えることができます。
屋内温度自体が下がるのはもちろん、冷房の効率も向上し、省エネ効果も期待できます。

また、通常の建築用塗料と同様に、雨や紫外線などの建物の劣化要因から建物を守る機能もあわせ持っており、外観の劣化や、建材の劣化による雨漏りも予防できます。

断熱塗装とは?効率的な熱の伝導を防ぐ驚きの技術

対して、断熱塗装は熱の伝導を抑える効果がある塗装です。

塗料の中に特殊セラミックと呼ばれる、熱伝導率の低い成分を含んでいます。
これにより、屋外の熱が屋内に伝わりにくくなるため、遮熱塗装と同様に塗装前よりも屋内温度が低下し、エアコンの効率が向上、省エネ効果が期待できます
また冬場には、室内の熱を外に逃がしにくくなるため、保温効果も期待できます。

塗装本来の役割である建物を保護する機能も持ち合わせていますので、工場・倉庫の雨漏りの予防や、長期的に見た劣化の抑制にも寄与します。

2.遮熱塗装と断熱塗装の比較

遮熱塗装と断熱塗装メリット・デメリット

遮熱塗装と断熱塗装それぞれのメリット・デメリットをまとめてみましょう。

遮熱塗装断熱塗装
メリット・夏場の温度上昇を抑える効果が期待できる
・夏場の省エネ効果が期待できる
・ヒートアイランド現象を緩和できる
・塗装による建物のメンテナンスを同時にできる
・夏場の温度上昇を抑える効果が期待できる
・冬場の室温低下を抑える効果が期待できる
・夏場・冬場の省エネ効果が期待できる
・結露の発生が抑えられる
・防音効果もある
・塗装による建物のメンテナンスを同時にできる
デメリット・汚れると遮熱性能が落ちる
・効果が期待できるのは夏場のみ
・遮熱塗料より工事費用が高い傾向がある(㎡単価1,000円前後程度高くなる)

※屋根塗装1,000㎡を基準とした場合

遮熱塗装は、断熱塗装と比べてコストを抑えて施工できる傾向にあります(2-2を参照)が、汚れると近赤外線を反射できなくなるため遮熱効果が落ちてしまうのが難点です。
これを解決するためには、雨で汚れをセルフクリーニングできる「低汚染性」を持った遮熱塗料を選ぶのがオススメです。

断熱塗装は冬場も効果を発揮し結露予防にも効果があるため一般的に遮熱塗装より性能が高い分、単価は1,000円程度上がる傾向にあります。

遮熱塗装と断熱塗装|耐用年数と概算費用

遮熱塗装と断熱塗装、どちらの方が耐用年数(耐久性)が長いかは一概には言えません。
耐用年数はメーカーや製品によって異なるためです。

また耐用年数が高いほど、施工にかかるコストは高くなる傾向にあります。
例として弊社で取り扱っている塗料の耐用年数と設計価格は以下の通りです。

種類製品名(プラン)耐用年数㎡単価
※設計価格(下塗材に金属用プライマーを含む)
遮熱塗料シャネツトップワンSi-JY(低コスト遮熱塗装プラン)13~16年1,400円/㎡~ 2,950円/㎡
遮熱塗料超低汚染リファイン500Si-IR(長期遮熱塗装プラン)15~18年2,000円/㎡~ 3,800円/㎡
遮熱塗料超低汚染リファイン500MF-IR(長期遮熱塗装プラン)20~24年2,400円/㎡~ 4,200円/㎡
断熱塗料ガイナ15年3,000円/㎡~ 5,050円/㎡

※㎡単価:屋根塗装1,000㎡の施工を基準としています。
※設計価格とは、施工規模300㎡を基準とし、1㎡あたりの塗装にかかる塗料費用と職人の人件費を合わせた1平方メートルあたりの参考金額のことです。

「遮熱性」「断熱性」以外の機能にも注目して選ぶことが大切

また、遮熱塗料・断熱塗料のなかには、「遮熱性」「断熱性」以外にも様々な性質を持つものがあります。
プランを選ぶ場合には、その遮熱塗料・断熱塗料が、他にどのような機能を持っているかも加味して選定しましょう

機能の例としては以下の通りです。

機能特徴
防水性防水性は、塗膜が弾性を持ち、建材のひび割れに追随することで、建物内部への雨水の浸入を抑止します。
通常の塗料よりも雨漏りを予防・抑制する効果が期待できます。

※屋上・バルコニーなどで使用される防水材とは異なります。
低汚染性(防汚性)低汚染性(防汚性)は、表面に汚れが付きにくく、セルフクリーニングする機能を持ちます。
雨水により表面が洗浄される「親水性塗料」、紫外線により汚れを分解する「光触媒塗料」があります。

特に遮熱塗料においては、この低汚染性が重要で、遮熱性能を維持するために選ぶことが推奨されます。
防カビ性防カビ性は、塗料に防カビ剤を配合することで、塗装面にカビや藻が発生しづらくなります。
これにより、美観の維持や健康リスクの低減が期待できます。
耐火性耐火性は、不燃性能を持ち、火災時に延焼を抑えることができます。
これにより、建物や設備の被害を最小限に抑える効果があります。
耐熱性耐熱性は、塗布箇所が100℃を越すような高温環境でも、塗布された物品や表面を保護します。
この効果により、装置や設備の効率的な動作が維持され、メンテナンスや冷却の頻度が減少し、エネルギー消費を抑えられます。
放熱性放熱性は、塗布された表面から効率的に熱を放散することで、表面温度を低く保つ特性を持ちます。
これにより、機械や電子機器の過熱を防ぎ、エネルギー効率を向上させる効果があります。建物に対しては、遮熱性と同様の効果があります。

費用と性能のバランスを見て塗装プランを選びましょう

遮熱塗装・断熱塗装にはそれぞれメリット・デメリットがあり、さらにメーカーおよび塗料の種類によりプラスの機能もありますので、全体のバランスを見て総合的に判断する必要があります

最終的にはお見積り金額とも相談になりますが、現状の自社の工場・倉庫のお悩みをしっかり把握したうえで、最も満足の得られる結果になるのはどの塗装なのかを判断しましょう。

来年の起案に向けて遮熱テスト施工が有効です

アステックペイントでは、暑さ・熱中症対策として、屋根からの熱の侵入を抑えるのに効果的な各種遮熱塗装をお取り扱いしております。

工場・倉庫の屋根・外壁は面積が大きく、また太陽光の熱を吸収しやすいため、主要な熱の侵入路となります。
そのため遮熱塗装を行い屋根・外壁の温度上昇を抑えることで、熱の侵入量を低減し、屋内温度を低下させます。

また、既存の空調効率がアップするため、消費電力軽減にも期待できます。

各種遮熱塗装については無料でのテスト施工も承っておりますので、ご希望の場合はお気軽にお問合せください。

遮熱塗装の効果を実証したデータ資料は下記よりダウンロードいただけます。


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