工場や倉庫の外壁から雨水が浸入すると、建物の劣化が早まるだけでなく、製品の品質にまで影響を及ぼす可能性があります。戸建て住宅とは違い、保管している製品の損傷や精密機械の故障による生産ラインの停止、さらにはカビの発生による衛生環境の悪化など、被害はさまざまです。 

本記事では、工場や倉庫の壁を防水する必要性について解説。漏水が発生する原因から、適した補修方法だけでなく、工場を稼働させながら工事を進めるための具体的な計画まで詳しく解説します。 

漏水が起こる原因と防水の必要性

工場の漏水は、屋根からだけではなく壁からも発生する可能性があります。まずは、漏水が起こる原因と、対策を怠った際のリスクを整理してみましょう。

漏水が起こる原因と対策

工場外壁の劣化

工場の壁で漏水が起こる主な原因は、壁材やシーリング材の経年劣化による、隙間・ひび割れの発生です。水は上からだけでなく、雨風により側面からも入り込むため、さまざまな箇所で漏水の可能性があります。 
とくに、以下の部分が浸水経路になりやすいポイントです。 

目地の劣化 
壁材と壁材のつなぎ目にあるゴム状の素材(シーリング材)は、紫外線や温度変化によって劣化します。放置していると、ひび割れしたり剥がれたりすることで隙間が生じ、雨水が浸入します。 
劣化したシーリングを打ち直すことで、対策が可能です。 

クラック(ひび割れ) 
コンクリート外壁やALCパネルなどは、経年劣化によりクラックが発生します。はじめは髪の毛のように細くても、振動や地震により広がっていくので、工場では早めに対応をしておきたい箇所です。幅0.3mm以上に広がると構造体まで浸水する可能性があります。 

対策する際は、ひび割れを補修した後、防水塗装を行ってください。 

取り合い
取り合いは、壁と屋根やダクトと壁など、異なる建材が接する部分の名称。雨水の流れる道になりやすく、漏水のリスクが高い場所です。とくに、屋根と壁の接合部はわずかな隙間が生じやすく、定期的なチェックが欠かせません。

シーリングの劣化によるものが多く、打ち直して対策をします。また、板金部分が剥がれている場合は、固定し直すのも有効な方法です。 

開口部 
窓・シャッター・換気口などの開口部は、サッシ部分に隙間が生じやすく、雨水が入り込みやすい部分です。おもな原因として、サッシまわりのシーリング材の劣化のパターンが多く、シーリング材の打ち直しで対策をします。 

金属部
金属の外壁では、錆やシーリングの劣化が、漏水のおもな原因となります。錆が進むと腐食部分から穴あきが発生して、漏水が起きるので注意が必要です。 
とくに、年数の経過している部分は錆が進んでいる場合が多く、張り替えも検討する必要があります。

対策としては、定期的な外壁塗装や、シーリングの点検が有効です。 

防水工事の必要性

シーリング打設工事

水漏れが少量の場合、つい様子を見がちですが、防水対策を怠ると以下のようなリスクを招く可能性があります。

1. 機械や電気設備の故障 
工場内では、精密な機械や電気設備が多く、水がかかるとショートや故障の原因となります。重要な設備が漏水により故障すると、修理や買い替えに多額のコストが発生しかねません。 
さらに、生産ラインの停止による機会損失も、大きな問題です。 

2. 製品の品質に影響がでる 
湿度管理を厳格に行っている工場で、とくにリスクとして挙げられるのが、製品の品質に悪影響を及ぼす点です。 

水が工場内に浸入して湿度が上がると、湿気によるカビの発生や直接の水濡れを起こす可能性があります。水に弱い製品を扱っている場合、製品の品質低下だけでなく不良品による廃棄のリスクが大きな問題です。

3. 建物の寿命を縮める 
漏水により内部へ浸入した水は、金属部分の錆や構造材の腐食を促進させます。建物の内部が劣化すると、建物の寿命が大幅に縮む可能性があるのに加えて、耐震性が落ちて災害のリスクが高まります。 

また、対応が遅れるほど劣化が進行して、補修や改修工事の費用が増えるのもリスクの1つです。 

4. 従業員の安全面 
漏水により床が濡れると、転倒事故や漏電による火災・感電事故の可能性など、安全衛生面での問題も発生します。安全な労働環境を維持するためにも、工場の漏水対策は優先的に取り組みたい課題です。 

漏水につながる劣化サイン 

診断のイメージ写真

下地材の種類によって、漏水の前兆となるサインは異なります。特徴を知って早めに気づくことで、症状が悪化する前に対応が可能です。工場の壁に以下のような症状が出ていないか、セルフチェックを行ってみてください。

 ALC(軽量気泡コンクリート) 外壁の場合

ALCは、断熱性や耐火性に優れ、約50年もつとされる耐久性の高さを有した外壁材です。一方で、内部に気泡のある構造なので水を吸いやすく、防水性の低さが弱点です。 

クラック(緊急度 高) 
ALCが漏水をする原因として緊急度の高いのが、クラック(ひび割れ)によるものです。揺れの影響を受けやすい素材なので、地震や車両の揺れによりダメージを受けていきます。 

最初は小さいクラックでも、放置しているとヒビが広がっていき漏水の可能性が高まるので注意が必要です。小さいクラックのうちに補修をすることで、リスクと手間を抑えられます。 

シーリングの劣化(緊急度 中) 
ALCの施工は、パネル同士を貼り合わせて行うため、継ぎ目部分はシーリング材で埋めています。シーリング材は劣化の早い素材で、進行すると目地に隙間が生まれると水が浸入するため、こまめなチェックが欠かせません。 

ALCを扱ううえで見逃しやすいポイントなので、見つけたら早めの対応を検討してみてください。 

塗膜の剥がれ(緊急度 低) 
ALCは水に弱いため、塗装をして防水性を高めているのが特徴です。しかし、塗装は時間の経過とともに剥がれていき、初期症状として色褪せが起こります。 

色褪せが発生した段階で緊急性はなく、漏水の可能性は低いですが、進行すると表面に白い粉が出るチョーキングが発生。放置すると外壁の防水性能が落ち、雨水が入り込むため、早めの対応を心がけてみてください。

モルタル外壁の場合

モルタルの壁は継ぎ目がないため、目地や継ぎ目から漏水しないのがメリット。耐久性も高く長持ちする壁材ですが、継ぎ目がない分建物の揺れや温度の変化によってひび割れを起こしやすいのが欠点です。 

構造クラック(緊急度 高) 
幅0.3mm以上、深さ5mm以上のひび割れです。雨水が内部に浸入するだけでなく、基礎部分にまで影響が及ぶ可能性があるため、専門業者による素早い対応が求められます。 

ヘアークラック(緊急度 中) 
幅0.3mm以下、深さ4.0mm以下の細いひび割れです。表面部分にひびが入っている状態なので、すぐに漏水する可能性は低いですが、放置すると広がります。 
そのため、発見した場合は早めに対応するのがおすすめです。 

塗膜の劣化(緊急度 低) 
塗膜が劣化すると防水機能が薄れるため、雨水がモルタルの中に浸透していきます。手で触ると白い粉が付いたり(チョーキング)塗膜の剥がれが見られたりした際は、再塗装を検討するタイミングです。 

金属(金属サイディング・角波鋼板など)外壁の場合 

金属製の壁は耐久性が高いうえに水そのものは通しません。一方で、錆による腐食が漏水の原因となりがちです。 

錆(緊急度 高) 
表面の保護塗装が剥げた状態で水にさらされ続けると、金属が酸化して錆になります。錆は放置すると進行していき、最終的には穴が開きます。 

錆は再塗装で進行を抑えられるので、発見したらすぐに対処してみてください。 

シーリング材の劣化(緊急度 中) 
継ぎ目やサッシ周りに施されているシーリング材の劣化も、金属外壁が錆びて漏水につながる原因です。シーリング材の劣化が進むとひび割れが起こるため、水が入り込んで金属を錆びさせます。 

劣化が確認できた場合は、取り替えや重ね塗りをして、補修をしてみてください。 

塗膜の劣化(緊急度 低) 
金属系の外壁には、錆予防のために塗装処理をしています。しかし、時間の経過とともに劣化していき効果が薄れるため、退色や浮きなどの症状が出た場合、再塗装を検討してみてください。 

すぐに浸水の症状が現れるわけではありませんが、早めの対処がおすすめです。 

おすすめの防水メンテナンス方法 

メンテナンスのイメージ写真

工場の防水対策には、防水塗装、カバー工法、シーリング・防水テープの3種類があります。結論からいうと、防水塗装がコストと効果のバランスがよく、おすすめです。 

防水塗装 

防水塗装は、外壁の保全メンテナンスと防水対策を同時に行える工法です。コストパフォーマンスに優れており、長期的なメンテナンスに適しています。外壁用には、ゴムのように柔らかく伸びのよい弾性塗料を使用しているのが特徴です。 

弾性塗料は、追従性があるので地震や車の通過による揺れに強く、ひび割れを起こしにくいのがメリット。外壁にしっかり密着するため防水性も高く、漏水に強い塗料です。 

アステックペイントでも、優れた伸縮性と耐候性で、高い防水性能を有する塗料を扱っています。 

カバー工法 

カバー工法は、既存の外壁の上から新しい外壁材を張る方法。漏水の対策だけでなく、外観の一新もできるため、企業イメージをUPしたい場合にもおすすめです。 
また、断熱性・遮音性の向上やメンテナンスコストの軽減などのメリットもあります。 

一方で、二重構造となるため再度漏水した場合に原因特定が難しい点や、初期費用が高い点などがデメリットです。 

シーリング・防水テープ 

目地やひび割れができた部分のみを、ピンポイントで補修する方法。費用が安く短時間行えるため、応急処置として有効です。 

ただし、あくまで応急処置のため根本的な防水対策にはなりません。防水塗装やカバー工法で補修をするまでの、つなぎとしておすすめです。 

防水工事の工程計画 

計画を立てるイメージ写真

工場で防水工事をする際に大切なのが、工程計画です。原因の特定から工期の把握までしっかりとすることで、操業や安全な作業環境を確保しつつ、工事を行えます。 

調査から完工までの流れ 

1.現地調査・診断 
現地調査や診断は、塗料の選定や見積もりをするのに必要な工程です。診断ではおもに、外壁の劣化具合や塗装範囲など確認を行います。目視での確認だけでなく、打診・散水・赤外線等の組み合わせをすることで、原因精度の高い調査が可能です。 

診断の詳細はこちらで詳しく解説しています。 

診断後は、結果と工事の提案をまとめた診断報告書を作成。計画を立てるための資料として使います。 

2.見積もり・契約 
現地調査の結果をもとに、見積もりを行います。見積書は、具体的な費用と合計金額が書いているか確認をして、予算管理の参考にしてみてください。 

たとえば、一式と書かれただけでは不明瞭な部分が多く、後々のトラブルにつながりかねません。下地補修・シーリング・塗装など、細かく記載してもらうようにすると回避できます。 

見積書や診断報告書などを参考に、納得がいけば契約を結んで、正式な工事依頼が成立します。 

開始前の現場確認 
作業の開始前には現場確認を行います。依頼者側の担当立会のもと、作業の障害となるモノの移動を行うため、塗料で汚したくない設備があれば、事前に伝えると安心です。 

足場設置・洗浄 
塗装工事は高所で作業をするため、足場の設置が必要です。あわせて、メッシュシートで保護を行い周囲に塗料が散らないようにします。 

設置後は、高圧洗浄機を使い汚れや古い塗膜などを落とし、塗装の下準備を行います。 

下地処理 
下地処理は、塗装の仕上がりを左右する大切な工程です。おもに、シーリング切れやひび割れ部分の補修を行い、キレイに塗装を行える準備をします。 

塗装 
最初に行うのが、塗料と外壁材の密着性を高めるための下塗りです。外壁材によって塗料が違い、金属系なら錆止め塗料、モルタルにはクラックの発生を抑えられる塗料などがあります。 

下塗り塗料が乾燥したら、上塗り作業の開始です。続いて、窓枠やドアなどの付帯部分を塗装すると、塗装作業は一通り完了します。 

完工検査 
塗り残しや仕上がりの確認を行います。立ち合いをして、問題がなければ塗装工事は完了です。足場解体後は塗り直しが難しいので、漏れなくチェックをしましょう。 

工期の目安は、合計面積1,000㎡でALC素材を使用した場合、予備日を含めて2〜3週間程度かかります。 

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工期は、外壁の種類や面積・劣化状況などによって変わります。 

まとめ 

工場の壁の防水は、漏水が起きてからではなく、早期発見と計画的な対策が重要です。
アステックペイントでは、現地調査から工程計画、見積もりまでを一貫して対応しています。 外壁の漏水対策・防水に関してお困りのことがございましたら、お気軽にお問い合わせください。