本記事では「カビの除去にコストがかかっている」「HACCPやFSSC22000の監査でカビ対策を指摘された」という食品工場の担当者の方へ、解決策を具体的に解説します。結論からいうと、食品工場のカビ対策は、除去+環境改善+防カビ塗装の3つが基本的な方法です。

そこで、食品工場特有のカビ発生メカニズムから、具体的な清掃手順、再発を根本から防ぐための防カビ塗装の選び方までを紹介。実務に即した情報を網羅するので、参考にしてみてください。

食品工場でカビが発生しやすい原因と放置リスク

湿度の高い食品工場

カビの発生は環境要因によるものです。適切な対策を講じなければ、製品の品質問題や操業停止といったリスクに直結する可能性があります。

そのため、食品工場でカビが発生しやすい原因と、放置することでどのようなリスクがあるのかを理解することが大切です。

食品工場でカビが発生しやすい原因

食品工場でカビが発生しやすい大きな理由は、高温多湿という環境条件です。食品の製造工程では、加熱や調理を行うことが多く、大量の蒸気が発生します。加えて、洗浄作業による水分や冷蔵設備と、外気温の温度差による結露などもあり、常に湿気が発生しやすい状態です。

文部科学省の資料によると、カビは温度25℃・相対湿度70%の環境では、数ヶ月で発生するとしています。食品工場の多くは、この条件を満たしやすい環境です。さらに、食品の油分も、カビにとっての栄養源となります。これらの条件が重なることで、理想的な繁殖環境となるのです。

とくにカビが発生しやすい場所としては、天井や壁の隅、冷蔵庫・保管庫周辺、配管周りなどが挙げられます。これらの場所は、定期的な点検と清掃が必要です。

放置リスク

・製品への混入と異物クレーム

天井や壁で成長したカビの胞子や塊が製造ラインに落下すると、品質問題になります。そのため、とくに大きなリスクとしての認識が必要です。
異物の混入が発覚すると、該当ロットを回収しなければならず、多額の費用がかかります。さらに、消費者からのクレームで、信用問題に発展する可能性もあります。

・操業停止と経済的損失

一度カビの混入や健康被害が発覚した場合、原因の特定と除菌作業が完了するまで、工場の操業を止めざるを得ません。
その間、売上損失や廃棄コストなどの経済的損失はもちろん、社会的信用を損なう可能性もあります。

・認証の取り消し

HACCPやFSSC22000などの食品安全マネジメントシステムの認証を取得している工場では、カビ対策の不備は監査の際に問題となります。
最悪の場合、認証が取り消される可能性もあり、取引先からの信頼を失いかねません。

HACCP/FSSC22000での要求事項

HACCP(ハサップ)は、カビを含む食品の製造や調理工程で起こりうる危害要因を事前に分析して、重点管理を行う手法です。危害要因分析や管理基準の設定など7原則を、12の手順によって現場に落とし込み、検証結果を記録として残すことが求められています。

FSSC22000(食品安全システム認証)は、食品の安全についての国際的な規格ISO22000をベースにした国際的な食品安全認証です。

ISO22000や食品の温度管理や衛生の管理などを求める前提条件プログラムに加えて、異物混入・食品事故への対策を定める追加要求事項で構成しています。

食品工場のカビ除去・清掃の正しい手順

機械を清掃する作業員

カビは、表面だけを拭き取るだけでは不十分なため、適切な手順で除去することが重要です。本章では、正しいカビの除去方法と、再発を防ぐための環境改善策について解説します。

作業前の準備

食品工場でカビ除去作業を行う前には、製造ラインを停止する必要があります。作業中に薬剤が飛散したりカビの胞子が舞い上がったりして、製品が汚染されるリスクを避けるためです。

次に、作業エリア以外への影響を抑えるために、養生シートで周囲をしっかりと覆います。とくに、重要な設備がある場合は、厳重に保護しましょう。

作業者は、薬剤が肌に付着したりカビを吸い込んだりしないように、保護具を着用します。とくに、カビの胞子を吸い込むと健康被害を起こす可能性があるため、適切な保護が必要です。

カビ除去の具体的手順

①乾いた汚れを先に除去
粉やほこりが残ったまま薬剤を使うと、汚れの下にカビが残りやすいので注意が必要です。まずはブラシや布で乾いた汚れを落とします。

②アルコールで洗浄
70〜80%の濃度に希釈したアルコールをスプレーして、カビの表面にある胞子の殺菌をします。10分ほど放置したあと、布やペーパータオルなどでしっかりと拭き取りをしてください。

③次亜塩素酸ナトリウムでの除去
用途により希釈した濃度の次亜塩素酸ナトリウムを使い、目に見えるカビ本体の除去をします。使用時は以下の2点に注意してください。

濃度管理:薄すぎると効きにくく、濃すぎると素材や金属を傷めたり、臭気が残りやすくなります。

混ぜない:酸性の薬剤と混ぜると、塩素ガスが発生するので危険です。

④乾燥
洗浄後は、カビの再発予防のため確実な乾燥が大切です。必要に応じて送風機や乾燥機を使い、速やかに乾燥させてください。

除去後の確認方法

カビ除去が適切に行われたかを確認するために採用されるのがATP検査です。ATP検査は、表面の清浄度を数値化して評価できます。

菌の種類や数などを、より詳細に確認したい場合は、培養検査が効果的です。除去した箇所からサンプルを採取し、培地で培養することで、カビや他の微生物の残存状況を確認します。
これらの検査で問題がなければ、除去作業は完了となります。

環境改善策

カビの再発を防ぐためには、除去作業と並行して環境改善を行う必要があります。

まず、換気設備の強化が挙げられます。適切な換気により湿気を排出し、カビの繁殖を抑制しましょう。さらに、換気扇の増設や換気時間の延長、空調システムの見直しなどもポイントです。

加えて、結露対策も重要です。冷蔵庫や冷凍庫周辺、配管部分など、温度差が生じやすい箇所には断熱材の導入を検討してみてください。また、結露が発生した場合には速やかに拭き取る体制を整えます。加えて、シーリングファンを導入して空気を循環させるのも効果的です。

湿度管理として、除湿機の設置や空調設備による湿度コントロールも行います。湿度は、60%以下に保つことが望ましいです。

清掃頻度の見直しも効果的です。カビが発生しやすい箇所は、定期的な清掃を心がけて汚れや湿気を蓄積させないようにしてみてください。

除去だけでは再発する理由

カビの除去作業を行っても、しばらくすると再び発生してしまうというケースは多く見られます。理由としては、除去作業が表面のカビを取り除くだけで、カビが発生する根本的な原因である環境条件の改善がされていないためです。

カビの胞子は空気中を常に浮遊しており、条件が揃えば再び繁殖を始めます。そのため、除去作業と環境改善を行っても、建物の構造や使用状況によっては再発する場合があります。

このような場合の対策として、防カビ塗装が有効になります。

根本対策|防カビ・抗菌塗装の種類と選び方

カビ対策を施したキレイな壁と天井

環境改善を行ってもカビが発生してしまう場合の根本的な対策としては、防カビや抗菌塗装が有効です。本章では、防カビ塗装が必要な理由と、食品工場に適した塗料の選び方について解説します。

防カビ塗装が必要な理由

食品工場では、高温多湿な環境で作業する場合が多く、カビが発生する可能性を完全になくすことは困難です。たとえ、換気や除湿を意識していても、蒸気の発生や洗浄水の使用を避けることはできません。さらに、24時間稼働する工場では、作業場を乾燥させる時間も足りない場合があります。

そこで有効なのが、防カビ機能を持つ塗料でコーティングする方法です。

防カビ塗装は、塗膜に含まれる防カビ成分がカビの繁殖を抑制。日々の清掃や換気と組み合わせることで、カビが発生しにくい環境を維持できます。

食品工場に適した塗料の条件

食品工場で使用する防カビ塗料は、単にカビを防ぐだけでなく、以下の条件も求められます。

抗菌性
菌の増殖を抑える機能。特定の種類のカビだけでなく、食品工場で発生しやすい多種多様な菌に対応しているか。

耐洗浄性
繰り返しの拭き取りや洗浄を行っても、塗膜面の性能を維持できる性能。

低VOC
塗料中に含有する有機溶剤が少なく、食品へのニオイ移りを抑えられる。

食品衛生法適合
食品衛生法適合の証明を取得している塗料かどうか。

塗装に向いている場所・向いていない場所

防カビ塗装が効果的な場所は、カビが発生しやすく製品への混入リスクが高い、天井・壁・柱などです。さらに、冷蔵庫や冷凍庫周辺、蒸気が発生する調理エリアの天井など、湿気が多い箇所も防カビ塗装の効果が期待できます。

一方で、常に蒸気を帯びるような場所では、防カビ塗装を施してもホコリやちりが付着してカビが発生するため不向きです。

アステックペイントで工場内壁の施工におすすめの防カビ塗料

アステックペイントでは、食品工場の塗装に適した防カビ塗料「スーパーBIOリファイン(-IR)」を提供しています。
本製品は、検出頻度の高い60種を含む、約2,000種類のカビと藻に効果を発揮します。さらに、有効成分の流出速度が低いため、効果が長持ちするのもメリットです。
また、貴社の工場の菌を採取し、その菌に適した薬剤を配合するカスタム防カビ塗料「スーパーBIOリファインカスタム(-IR)」も提供。より最適な防カビ効果をお求めの方におすすめです。

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防カビ塗装工事の進め方と注意点

養生中の食品工場

食品工場での塗装工事は、一般的なオフィスや住宅の工事とは異なります。本章では、防カビ塗装工事を進める手順と、食品工場ならではの注意点を解説するので、参考にしてみてください。

工事の基本的な流れ

1. 現地調査
施工店による現地調査では、カビが発生している箇所の確認・結露や漏水の有無・換気状況・下地などを調査します。

2. 提案
調査結果に基づき、下地処理の方法、塗料の選定、施工範囲と区画分けの計画などを提示します。

3. 工程調整
食品工場の操業に与える影響をできる限り抑えるため、稼働中のラインと停止可能なラインを確認。夜間や休止日などを活用した施工スケジュールの調整で、最適な工程を考えます。また、養生や作業動線についても綿密な計画を立てます。

4. 施工
養生作業から開始し、カビの洗浄・除去を開始。十分乾燥させたあとに、下塗り→上塗りの順に塗装を行います。各工程の間に適切な乾燥時間を確保することが、塗料の性能を引き出すコツです。

5. 検査
施工完了後は、塗りムラや剥離がないか、臭気が残っていないかを確認します。清掃を完了し、製造ラインを復旧できる状態であることを確認してから引き渡しとなります。

施工期間の目安

施工後のキレイな工場

施工期間は、洗浄・除カビなどの下地処理や乾燥にかかる時間などで変動します。おおよその目安は以下の通りです。

・~300㎡:~1週間前後

・300~1,000㎡:2~3週間

・1,000㎡~:2~4週間以上(区画分割で順次)

1,000㎡以上の大規模な施工の場合、2~4週間以上かかることがあります。そのため、区画を分割して順次施工することで、操業への影響を抑えつつ作業の進行が可能です。一方で、小面積の施工は、多くの場合短期集中で行われます。

ラインは全面停止をするのではなく、エリアごとに隔離して順次施工することで、停止範囲と時間の最小化が可能です。とくに、臭気や粉じんが発生する工程のみを停止する計画を組むことで、操業への影響を抑えられるため、意識してみてください。

食品工場特有の注意点

食品工場で防カビ塗装をする場合は、以下の点に注意する必要があります。

製造への影響最小化

作業時は、養生シートを使って施工エリアと製造エリアの区画分けを行い、完全に分離します。さらに、陰圧管理や集じん機の使用により、塗料の臭気や粉じんが製造エリアに流れないような対策も大切です。

作業動線も明確にして、作業者と工場の従業員が接触しないようにします。夜間や休日を活用した施工により、製造時間帯への影響を最小限にすることも有効です。

また、高圧洗浄時はカビが飛散する可能性があるので、区画養生や陰圧化を組み合わせて対策をします。

臭気対策

作業時の臭気対策として、防カビ塗料には低臭仕様の塗料を検討してみてください。それでも、施工時にはある程度の臭気が発生します。十分な換気計画を事前に立てて、臭いのトラブルを未然に防ぐことも大切です。

異物混入防止

塗装作業をする際は、養生材の破片やローラーの毛羽などが混入しないように、細心の注意を払います。さらに、工具類の管理を徹底することによる、作業後の置き忘れ対策も大事です。また、作業後は清掃と拭き上げを行い、異物を排除します。

衛生管理の徹底

作業区域の明確化をすることで、作業者が指定されたエリア以外へ立ち入らないようにします。加えて、塗料や資材の保管場所も事前に決定。製造エリアや製品保管エリアから離れた場所に設置します。

まとめ

高温多湿な環境で発生するカビは、除去と環境改善だけでは再発を防げない場合があります。そのため、食品工場のカビ対策には、防カビ塗装による根本的な解決が効果的です。防カビ塗装をする際は、カビの除去や換気強化・湿度管理による環境改善を行ったうえで施工すると、長期的な効果が得られます。

アステックペイントでは、食品工場のカビ対策に関する無料現地調査やテスト施工をお受けしています。概算見積もりのご依頼も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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